III型コラーゲンは別名「ベビーコラーゲン」とも呼ばれ、生まれたての赤ちゃんの肌に多く含まれているが、25才を境に減少してしまう。現在、「卵殻膜」を使った化粧品やサプリメントなどが開発されているほか、このコラーゲンは皮膚の表面だけでなく、真皮に働きかけて、細胞を正常な状態へ戻そうとする働きがあるので、今後の研究では化粧品への応用のみならず医療分野等でも注目を集めていきそう。
そんなに卵殻膜にパワーがあるとしたら、家で作ったゆで卵の薄膜も捨てずに食べた方が良いということ?? アルマードさんにそんな素朴な疑問をぶつけてみたところ、「残念ながら、卵殻膜は水に溶けない性質を持っており、食べても消化吸収されません。当社ではサプリメントとして消化吸収できる卵殻膜を開発し、特許をとっております」とのことで、そのまま食べてもダメなんですねー……。
実は、400年前に中国で著された薬学書、『本草綱目』にもこの卵殻膜に関する記述があり、それが江戸幕府の頃には日本にも伝わっていたもよう。当時、卵は今よりずっと貴重なものだったと思うが、戦などで負傷した際の治療に用いられたとも伝えられているそうだ。
ただ、長年この「卵殻膜ケア」は民間療法的なものにとどまっており、それが科学的にきちんと立証されたのは近年のことらしい。今年5月に東大の跡見順子名誉教授がアメリカの専門誌に研究論文を発表したことで一躍、注目を集めることに。
そもそも、「卵殻膜」の研究は、アルマードの創業者である長谷部由紀夫氏が戦争中に 疎開先の学校にあった鶏小屋を眺めていて、「何故こんな汚い場所で卵からヒヨコがかえって、 すくすくと元気に育つんだろう」と子ども心に不思議に思っていたことからはじまったという。
大人になった同氏が昭和40年頃に一世を風靡した「力道山」のインタビューをテレビで観ていたところ、「しょっ中、怪我をしているのにどうしてそんなに肌がキレイなのか?」という記者からの質問に、「相撲部屋時代から、卵の殻で手当てをしている」と答えたのを聞いて、それまでの謎が氷解したのだとか。その後、メーカーや大学との長年の共同研究により、卵殻膜コスメの開発に至った、というワケなのだ。
なお、今でも相撲部屋ではパックのように傷口に卵殻膜を貼りつける処置が伝統的に行われているそうで、「へ~!」と感心。
ちなみに、アルマードのコスメには、基礎化粧品のみならず、マスカラやファンデーション、グロスなどすべての製品に「卵殻膜」成分が入っているそうだ。いや、それにしてもごくごく身近な食品である卵にそんな隠れたパワーがあったとは……これから、モーニングサービスのゆで卵を見る目がちょっと変わってしまいそうです!?
(まめこ)