2010年8月、国立競技場史上初の4days公演をかわきりに、11年1月まで全国5大ドームで行われた嵐のコンサートツアー「ARASHI 10-11TOUR“Scene”~君と僕の見ている風景~」。そのツアー最終日である福岡Yahoo!JAPANドーム公演を収録したコンサートDVD「ARASHI 10-11TOUR“Scene”~君と僕の見ている風景~DOME+」が6月15日に発売された。
1月には既に、同ツアーの国立競技場公演を収録した【stadium】バージョンが発売されており、1ツアーで2本のコンサートDVDが発売されたことになる。

基本的にはアルバム「僕の見ている風景」をキーにしたツアーなので、国立とドームで大幅な変更はない。ただ、国立でアンコールにやった曲を序盤にもってきたり、国立ではやらなかった曲をやったりと若干の変化あり。野外とは違い暗転ができるので、演出も少し派手に見えたりするので見比べるのも楽しい。やっぱり嵐のコンサートは最高のエンターテインメントで夢の世界! でもそれはもうある程度予想済み。問題はその後のDisc3。すごい。もしまだ手元にない、これから買うという方は是が非でも3枚組初回限定盤を購入するべきである!

初回限定盤Disc3の内容は以下の通り。

■アルバムジャケット撮影風景
■嵐の強化合宿
■「まだ見ぬ世界へ 」メイキング
■「まだ見ぬ世界へ」ミュージックビデオ

「嵐の強化合宿」では、嵐5人で山中湖に1泊2日の強化合宿へ。バス乗車~バンガロー到着~着替えて就寝するまでの初日、2日目は、早朝ランニング~森の中のアスレチックで筋力強化~昼食&昼寝~アルバムレコーディング~打合せ~バーベキューまでを収録。「楽しむことも、ちゃんとすることもできたし、嵐らしい合宿だった。すごい充実してた。
なにが強化されたって? メンバーの関係性じゃないですか」とバーベキューで潤くんが語る通り、仲間感や友情、そしてプロ意識がつまった本当に嵐らしい映像となっている。

しかしここで「やっぱ嵐って仲良くていいわよねぇ~」なんて、ほんわか脱力していたら大変! Disc3のメインディッシュと言ってもいい、「まだ見ぬ世界へ」のPVとメイキングがものすごくかっこいいから!

「まだ見ぬ世界へ」は、サイバーな機械音が多用されたアップテンポナンバー。PV全編通してものすごく激しいダンスを披露。嵐のイメージにある「ファンも一緒に踊れる楽しいダンス♪」なんてもんじゃない。いや絶対ムリ! メイキング映像では、撮影の合間、汗だくになりながら「足いってぇ」とけわしい表情を見せる相葉くんや、扇風機の前に座り込んで「これコンサートでやったら30分は回復できないね」とグッタリ動けない潤くんの様子なども見られる。「久々だ、こんなに踊るの」と大野くんがボソッとつぶやく。いや本当に、一曲中こんなに全力で踊り続ける嵐を見られるのはすごく久しぶりのことなのだ。

去年~今年リリースされた嵐のシングルは7枚。ダンス曲が3枚(「Troublemaker」、「Monster」、「Lotus」)、明るいポップ曲が1枚(「Love Rainbow」、バラードが3枚(「To be free」、「Dear Snow」、「果てない空」)。ダンス曲といっても、PVで全編通してダンスし続けている曲は、昨年5月リリースの「Monster」以降はなかった。後半はバラードが多く、薄暗いトーンの中でたたずみ切なげに歌い上げる雰囲気が続いていた印象だ。ファンとしては、バラードもいいけど「ガシガシ踊ってる嵐が見たい!」という願望をウズウズとつのらせていた。


シングル初回限定盤についてくる特典にも若干思うところがあった。これまでは、PVとともに30分ほどあるメイキング映像がついてくるのがお決まりになっていたのだが、10年10月リリース「Dear Snow」では、映像ではなく写真のスライドショーが入っていたのだ。正直「これが特典なの…?」とがっかりしてしまった感は否めない。写真なら雑誌でも見られるし…。嵐とその周辺があまりに忙しすぎるため、制作スピードが追い付いていないのでは? とさえ感じたりしていた。でも忙しいのが悪いわけでもないし…というもどかしい気持ちがファン同士で議論されていた昨年末ごろ。

ファンが気づくくらいだから、きっと嵐本人たちも何かしら感じていたことだろうと思う。数出して売れればそれでいいわけじゃない。自分たちの納得いくものを作りたい、と。今回の「まだ見ぬ世界へ」PVが、なんだかそういうモヤモヤを思いっきり吹っ飛ばしてくれているのだ。

翔くんが語る。「(「まだ見ぬ世界へ」は)新しいことっていうか、音楽的にシングルではできなかった曲。
それに付随した激しめの踊り。“つくりこんだもの”をこのタイミングでやりたかったんだよね。デビュー曲「A・RA・SHI」と同じスタジオ・同じ監督で撮影したから、心機一転・原点回帰じゃないけど、一回立ち止まるというか、しっかりしたものをひとつ残しておきたいって。だから見応えのあるものになったらいいなとは思う」と。

そう! 少し立ち止まり時間がかかってもいいから、嵐本人たちが本当に納得いくものを見せてほしかった。なんだか数ヶ月かけて嵐と想いが通じ合った気がしてジーン……。5人のメンバー中2人(大野・二宮)が「早く辞めたい」と思いながらやっていた「A・RA・SHI」と同じ環境での撮影というのも実に感慨深い。あの頃とはまったく違う。キッとした瞳からは「今の俺らを感じろよ!」とばかりに攻めの姿勢で、自信が満ち溢れている。

ちなみに「まだ見ぬ世界へ」はシングル発売予定はなく、 7月6日リリース予定のニューアルバム「Beautiful World」に収録される新曲。シングルリリースされていないアルバム曲のPVは、2003年「Lucky Man」以来のこと(アルバム「How’s it going?」収録)。

今年に入ってからは、1月のシングルリリース以来目立った動きがなかった嵐。
この期間、嵐が嵐について必死に考え話し合い、合宿に出向き、意識的に作り上げた嵐だけの空間で過ごし、体を動かしエネルギーをためてためて、そしてここで一気にドッカーン! と放出されたようだ。ひとつ上のレベルに行った嵐の「まだ見ぬ世界へ」、本当にとにかく多くの人に見てもらいたい。私は、軽やかで軸のぶれない大野くんのダンスから目が離せずもう50回以上見ていますよ。三十路でこんだけ踊れるなんてステキ!

6月24~26日の3日間、東京ドームで全5公演行われるチャリティーイベント「嵐のワクワク学校~毎日がもっと輝く5つの授業~」という、コンサートとは全く違った嵐の新しい試みにも注目です!(夏トマト)
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