以前、ある大企業の執行役員さんの趣味が「超合金集め」だと知って、たいそう驚かされたことがある。だってさー、超合金っていったら、本当は単なる亜鉛ダイキャストを未来のテクノロジー“超合金”だと言い張って、テレビアニメのロボットなんかをずんぐりむっくりのフォルムで商品化している子供向け玩具だよ?(超偏見) そんなもんをいまさら集めるって、正直どうなの? ましてや大企業のエラい人が!

……というわたしの見識がまったくの的外れだったのは、少しでもホビーに詳しい人にはわかりきっていたことだろう。
そもそも、おもちゃ業界にとってノスタルジーというマーケットはとてつもなくでかい。子供の頃に欲しくても買えなかったおもちゃを、大人になってから過去を取り戻すかのように買いあさる大人は、おどろくほど多いのだ。

「超合金シリーズ」のように、有名なメーカー、有名なヒーローのおもちゃなら、大人が手を出す気持ちもよくわかる。そこにあるのは“懐かしい思い出の回復”だから。
しかし、聞いたこともないメーカー、見たこともないヒーローを商品化した「ダガング」ともなると、おもちゃ業界に疎いわたしは、フォックスにつままれた気持ちになる。

ダガングって、なんだ!?

本書『スーパーB級変形ロボット大戦 ダガング』のまえがきから引用してみよう。
〈観光地のおみやげ物屋や高速道路のサービスエリア、ファミレスの入り口付近やスーパーのお菓子コーナーなどで売られている玩具がある。それらの商品は安価な価格帯から「チープトイ」、紙製の台紙に貼り付ける形で梱包された商品を店頭のフックにぶら下げて販売することが多いため、その販売形態から「フックトイ」と呼ばれ、またそれらの特徴が駄菓子に共通することから「駄玩具」とも呼ばれている。〉

ダガングとは、すなわち「駄玩具」だったのだ。マニアックな生き方には定評のあるわたしだが、あえて言わせてもらおう。「マニアック過ぎるよ!!」

しかし、マニアックじゃないコレクション本ほどつまらないものはない。その点、この『スーパーB級変形ロボット大戦 ダガング』は、普通の人が知らないようなダガングが100点以上もオールカラーで紹介され、十分すぎるほどにマニアック。
おまけに、ダガングばかりを製造・発売しているダガングメーカー(決して駄メーカーじゃない!)4社の、無闇にこだわりの詰まったインタビューも掲載されているという抜かりのなさだ。

こうした無名ヒーローのおもちゃで遊ぶのは、誰もが知ってる有名ヒーローのおもちゃで遊ぶのとは比べ物にならないほど創造力が要求されると思うんだよね。おもちゃコレクターの極北の、底の知れない大穴をこの本の中に見た思いがする。

それでは来週のエキレビも、また見てくださいね~。だがんぐ。
(とみさわ昭仁)
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