学校は夏休み真っただ中。キャンプに海水浴、昆虫採集など、自然に触れる機会が多い子どもたちから、「なぜ?」「どうして?」の質問攻めにあい、お手上げ状態のお父さんお母さんもいるだろう。
また、夏休みも後半に入り、自由研究にはまったく手をつけていないわが子の様子に、ハラハラしている親御さんもいるかもしれない。そんな親子に救世主登場? 日本野鳥の会による『鳥のこと自然のことecoのこと、子どもなんでも電話でQ!!』(8月23日~25日開催)は、子どもたちが自然について疑問に思っていることを、専門家に直接電話で質問できるチャンスだ。

この企画は、日本野鳥の会が子どもたちの自然への興味を拡大させ、問題を解決する力を育んでもらおうと、今年初めて開催するもの。8月23、24、25日の3日間、小中学生計30人(各日10人)から電話で質問を受け付ける。質問内容は鳥に限らず、虫や森、エコなど、自然に関することなら何でもOK。物知り博士の安西英明さん(日本野鳥の会理事・主席研究員)がズバリ答えてくれる。

安西さんは、野鳥図鑑『新・山野の鳥』『新・水辺の鳥』(日本野鳥の会刊)の解説をはじめ、数多くの本や連載を執筆している鳥博士とも言うべきお方。野鳥や自然観察、環境教育などに携わり、「全国こども電話相談室」(TBSラジオ)や、「こども科学相談室」(NHKラジオ)で解説していた経験もある。私も安西さんに質問の機会をもらい、ずっと気になっていた疑問「渡り鳥はどのくらいの時間飛び続けることができるのか」を聞いてみた。「いい質問ですねぇ」と言われ、ちょっとうれしくなる私。そして、こう説明してくれた。

「基本的に、渡り鳥は夜の間に飛びます。
その鳥が夜の間に飛べる距離だけを飛んで、昼間は休んでエサを食べ、また夜に飛んで目的地まで行きます。だから、渡りをする鳥は“鳥目”じゃないんですよ。なぜ夜飛ぶのかというと、昼間はタカやハヤブサなどの天敵が活動する時間で危険が多いから。また、暑い昼間に一生懸命羽ばたいていると体も暑くなってしまう。だから涼しい夜に飛びます」。夜の間に飛んでいるとは初耳。そして、渡り鳥は鳥目じゃないなんていうのも実に興味深いお話だ。

「つい最近分かった新発見もあるんですよ!」と興味をそそられる言葉が続く。「夜に飛ぶという原則に例外もあって、あるシギの仲間はアラスカからニュージーランドまでの直線距離で約1万kmを、10日間弱かけて、休まずに飛び続けたことが分かりました。衛星追跡して分かったことで、専門家もビックリするくらいの新事実です」。そして最後に、「これからやってくる秋は、渡り鳥が北から南を目指して飛ぶ季節。夜、あなたの家の屋根の上を渡り鳥が飛んでいくかもしれませんね」と、自然への興味を生活の身近なところにつなげて締めくくってくれた。


当日は、質問者の学年や理解力、興味に合わせて回答してくださるという。そして、長年ラジオで子どもの電話相談を受けた経験を生かし、「質問にただ答えるだけでなく、その子が疑問に思った背景、発想の視点、何を求めているかを大事に話したい。それによって、これからの生活や生き方の参考になればうれしい」という安西さん。分かりやすく、きめ細やかに答えてくれること間違いなし。まさに一対一で話ができるのが最大の魅力だ。こんなチャンスはまたとないですよ! 募集の詳細は日本野鳥の会ホームページでどうぞ。
(ミドリ)
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