【畑菜穂子のおすすめ本】 毒島メルティー『ミステリー☆ハンター 神田川小五郎シリーズ ぼくは 蝋人形』(B.M.W)
極度のホラー恐怖症の山田シャルル・明夫。友人たちにむりやり連れて行かれた蝋人形館で恐怖の極限をこえてしまった明夫は……。
ホラーマンガらしいのだけど、ストーリー以上に気になる箇所がいっぱい。三角形と長方形の雑な東京タワーに、まったく似てないダイアナ妃やガンジー、ヤマネ(誰?)の蝋人形といった、うまいのかヘタなのかわからない絵。神田川小五郎が缶コーヒーを手に取るシーン(しかも手のアップ)だけで1ページ使うなど、コマ割りもおかしい。そして、なぜか常にビクビクしている助手の小栗バンディッツ。徳南晴一郎の『怪談人間時計』のような、どこか滑稽な印象を受けます。ツッコミどころ満載でお腹いっぱいになりそうなのに、ついつい読み進めてしまうから不思議。よくよく見ると、使われているのは「◯◯商会」というチラシの裏紙でした。もう……。
【島影真奈美のおすすめ本】 『にんにルーム 創刊号』(にんにルーム)
雪船えまさんの歌集『たんぽるぽる』の副読本。雪船さんの年譜があったり、重要語を集めた辞典があったり。いろんなマンガ家さんたちに『たんぽるぽる』に出てくる好きな歌一首に対して、思い思いのマンガを描いてもらったというページが楽しい。まっすぐ読み進めるというよりは、あっちをめくり、こっちをめくりしながら読みたい一冊です。