――僕が『ウル』を読んでいてすごく関心したのは、ウルって魔法使いの卵ではあるけれど、物を甘くするという1種類の魔法しか使えないじゃないですか。その厳しい縛りを、第1巻の最初に自ら設定してるわけで。
あさの そうなんですよねえ……。もう、なんで……はい(笑)。
――何だか1種類にしたことを後悔してそうな、そぶりですが(笑)。その設定の中、甘くする魔法だけで、ウルが周りの人を幸せにしたり、魔法学校の課題をクリアしたりするアイデアは、毎回すごく面白いなと思うんです。物を甘くする魔法という設定を思いついた時は、「これでいける!」という感覚だったのですか?
あさの う~ん。どちらかというと、役に立たなさそうな魔法だったら、何でも良かったんです。
――それは、なぜでしょう?
あさの 声優として仕事をしている自分自身のことを考えた時、これといった武器がないなと、ずっと思っていて。それこそ、物を甘くするくらいのしょぼい武器しか、持っていない気がするんです。今もそうなんですけど。だから、ウルが他の魔法使いを見て、その子の魔法をすごくカッコ良く思ったり、自分の魔法が超しょぼいなって感じたりするのは、いつも私が思ってることで。そんな、他のものでも代用できるくらいの武器しか持ってないけど、それで戦わなくちゃいけないっていうお話を書きたかったんです。