ご紹介するのは、そのブサイクランキング1位“じゃないほう芸人”の石田明の著書『万歳アンラッキー』だ。
NON STYLEは、石田と井上、出席番号が近かった中学高校の同級生同士として2000年大阪で結成。全身白い衣装を着たガリガリの石田と、ブサイクナルシストキャラの井上。NON STYLEといえば“M-1チャンピオン”として認識している人も多いはずだ。2008年M-1グランプリで見事優勝し、賞金1000万円を獲得している。M-1のほかにも、所属事務所のプロフィール<受賞歴>欄には輝かしい成績がズラリ。ABCお笑い新人グランプリ 審査員特別賞、OBC 上方漫才大賞 優秀新人賞、MBS 新世代漫才アワード 優勝、NHK新人演芸大賞 大賞、上方お笑い大賞 最優秀新人賞…。新人賞総なめ!こんなにたくさん、取りたくても取れない芸人が山ほどいるのに。これのどこがアンラッキー?
何千人ものお笑い芸人が憧れ、大会が終了した今では幻となったM-1優勝でさえも、石田にとってはアンラッキー体験のひとつなのだ。念願かなって優勝はしたものの、なぜか翌年大ブレイクしたのは準優勝のオードリー。アンタッチャブル、ブラックマヨネーズ、チュートリアルにサンドウィッチマンと、これまでの優勝者はみんなブレイクしてきたのになぜか。
育った家庭があまりに貧乏でろくな食事をとっていなかったため、異常なほどに骨が弱い。
相方・井上によって引き起こされたアンラッキーエピソードも多い。「そもそも相方が井上って時点でアンラッキー。24時間変顔してるやんコイツ」と、笑いにかえる石田。井上のウザキャラが定着しつつあるため、街で声をかけられる時も、「あ、キモくない方だ!」「ナルシストじゃないやつ!」とすっかり“じゃないほう芸人”呼ばわりされることが多くなったという。超イケメンでドラマ出演して女優とも熱愛している相方“じゃないほう”や、一発ギャグで大ブレイクした人気者の相方“じゃないほう”だったらまだわかるけれども、“ナルシストじゃないほう”という微妙な立ち位置もこれまたアンラッキー。
ネタがつきない人生というのも、お笑い芸人としてのひとつの才能なのかも。
人の不幸は蜜の味。読み終わると、「これに比べたら私ってけっこう順風満帆なのかもな」なんて思えてきて、なんだか「ありがとう」という気持ちになった。そして、子どもができたら絶対に栄養のある食事を与えなくてはと、将来の子育て像まで強く意識することができちゃいます。
本書に出てくるアンラッキーエピソードを、ケラケラ笑いながらおもしろおかしくしゃべくっているトークライブDVD 『NON STYLE TALK 2011 Vol.2』もオススメです。(夏トマト)