一度はチャレンジしてみたい、と憧れてしまうのが陶芸だ。
ストイックな雰囲気だが、同時に難しそうでもある陶芸を気軽に楽しく挑戦できるお店が、奈良にあった。


それは歴史的な町並みが続く奈良の観光地、ならまち。
その一角にある「ZOO&かぎろひ」さん。その奥で「誰でも作れますよ」と言う、“にぎり猫”体験ができるのだ。

教えてくれるのは陶芸作家の要 道子さん。
陶芸歴17年以上になる要さんが得意とするのは、動物モチーフの陶芸。3年ほど前、土をこねていてふと気が付いた。
「粘土をきゅっと握ると猫の形になるんですよ」

使う粘土は陶器と同じもの。温度にもよるが、基本的に柔らかい。
これを手のひらの大きさほど取り、きゅっきゅっと優しく握る。
すると掌の丸みによって、粘土が滑らかな猫背に変身。
その後、首になる部分に軽くへこみをいれ、頭の両際を軽くとがらせ猫耳を作る。頬の膨らみや鼻をつければ、ちょこんと座った猫の形に。


さっと作れば15分ほど。もちろん顔を描いたりしっぽや飾りを付けたりご自由に。凝る人でも1時間ほどで完成するとか。
後はこれを乾燥させ、素焼き、釉薬をつけて本焼き……と、要さんが仕上げ、1カ月後ほどで郵送してくれる。
「粘土はさわってるだけで、癒される効果があります」と要さん。 
柔らかいのにべとつかず、指の力だけで好きな形を生み出せる粘土は大人でもつい夢中になってしまう。

色は白に茶色2色、黒色を用意。
自宅で飼っている猫、かつて飼っていた猫を思い浮かべ作る人が多いそう。
作っている様子を見て「私も作ってみたい」「私も猫が好きで」と知らない人同士、会話が盛り上がることもあるそうだ。

陶芸は難しいと思われがちだが、このにぎり猫に正解の形はない。中には猫ではなく、象を作るなど自由に楽しむ人もいるとか。
失敗しても粘土なのですぐに直せる。
どんな顔や形になってもそれなりに、味がでる。
そして1カ月後に届けられるので、奈良の思い出に浸ることもできる。

これまで数え切れないほどの人が作ってきた。リピーターも多いという。
大きさも手のひらほど、力も必要無いので小さな子供からお年寄りまで誰でも作れるそう。
さらに小さな子供のほうが「作るのが早く、デザインも斬新」という。

これからの行楽シーズン、奈良の思い出作りに、猫を握ってみては。
(のなかなおみ)

「ZOO&かぎろひ」
奈良市毘沙門町29(TEL 0742-26-4387)
にぎり猫:800円
営業時間:11時〜18時
定休日:火曜・水曜
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