ドイツで、教員職が人気を盛り返しつつあるという新聞記事を目にしました。全国の16歳以上の学生およそ3,000人を対象にアンケートを実施したところ、将来の夢に「教員」を挙げる生徒が目に見えて増加したのだそうです。
一方、肝心の教員自身はどう感じているかというと、ほぼ7割が「教職は魅力的な職業だ」と回答しているのに対し、3割が「あまり魅力がない」と回答したというアンケート結果も添えられていました。

ドイツ人の知り合いに、偶然にも小学校と高等学校の教員がいますので、教員の魅力や悩みごとなどを尋ねてみることにしました。もっとも、男女各1名の、わずか2人に尋ねた結果ですので、全国およそ70万人という教員の声を代弁しているわけでも何でもありません。その点をご承知の上でお読み下さい。

■ 教員になった理由は?
大好きな子供たちと触れ合っていられる仕事だから。
長期にわたり、安定した収入を得られることも大きな理由。
毎年必ず長期休暇があるという点は、職業選択理由にはなかったと、2名とも真顔で答えてくれました。ホントカナ。

■ 職業上の悩みは?
自然科学系の教員の人員不足が、地域や学校によって、かなり深刻な状況にある。
児童数減少で学級数が削られた結果、ひとクラスの生徒数が増加傾向にある。結果的に、個々の生徒に目が届きにくくなってきている。
過去5〜10年くらいの間に、クラス運営の難しさがぐっと増している。
これには複数の原因が考えられるが、その中の大きな要因として、個々の生徒と円滑なコミュニケーションを図ることの難しさ、さらには、生徒の親権者の顔がたいへん見えにくくなっていることが挙げられる。

■ 教職制度や勤務校の現状について一言
大学での教職課程期間において、実習などの現場経験を大いに増やす必要性を痛感している。
家庭環境が、その児童の学業上での成功に与える影響は計り知れない。生徒がおかれた家庭環境、社会環境の格差が年々広がりつつある現状が、学校経営やクラス運営にも大きな影を落としている。
(柴山香)
編集部おすすめ