手が折れたとか、足が痛いとかと違って、記号的な要素がないもんね。
そしてなんといっても、扱う際慎重にならないといけない。繊細なんだよ。
たいていの場合は、鬱を描く時、「パロディ」にするか「シリアス」にするかの二択。
パロディとして成功させた作家だと、有名なところで久米田康治とかでしょうか。
鬱を笑い飛ばすには相当なバランス感覚が必要になります。
うつ病を「パロディ」として、そして「リアル」な現実の問題として、両側面から描いたのが、この琴葉とこ『メンヘラちゃん』です。
元々はWEBマンガで掲載されていたものでした。
ヒロインのメンヘラちゃん、親友の病弱ちゃん、そして不登校のメンヘラちゃんのところにいつもやってきてくれるけんこう君。
全107話+アルファというとんでもない分量で、WEBに掲載されていました。
単にギャグでうつ病を笑い飛ばすだけじゃない。シリアスで読んでいて心が折れるような物語でもない。
前向きに、うつ病を抱えて生きていく少女と、周りの思春期の少年少女を描いた作品。
かわいい絵柄でやんわりしているのに、突きつけてくるうつ病の描写は、非常に具体的。血が通っていて生々しい。
生々しいから、生きている感じを味わえる。あったかいマンガです。
最初WEBマンガでみた時、「メンヘラ」って言葉を聞いてドキッとしたんですよ。
いいの?ちょっときわどいんじゃないの?と。
それを見事に緩和するように、序盤はうつ病をギャグとして昇華する4コママンガになっています。