昭和の時代から、模型店の片隅にいつもあった、おでんやラーメン、たこ焼きなんかの屋台のプラモデル。
他にも寿司屋とかそば屋、農家や水車小屋に、牧場なんていうものもあった。
地味なたたたずまいで、買う機会も正直少ないけれど、売っているのを見かけると、ちょっとホッとする、いつか作ってみようかと思うような、そんな商品たち。
これらの商品を展開していた模型メーカー、河合商会が、10月15日付で自己破産を申請したというニュースがあった。
創業は1972年。貨車を中心にしたNゲージの鉄道模型や、情景模型用で草などを表現する時に使うカラーパウダーなどでも有名な企業だ。
冒頭に紹介した、屋台や寿司屋などがラインナップされた「風物詩シリーズ」は、第1弾の「そば屋」の発売が1973年で、昭和40年代から実に40年近く続くロングセラー商品となっている。76年からスタートした箱庭シリーズの中には、なぜか草の種が入っていて、撒くと本物の草が生えてくるという、ある意味での「リアル」を追求した商品も。
決してブームになってバカ売れするような商品ではないかと思うが、手ごろ感もあって、一度は組んでみたことがある人も少なくないかと。
そんなメーカーの倒産。もう屋台のプラモを店頭で見かけたり組んだりすることは出来なくなってしまうのだろうか。
ある模型関係者に、聞いてみた。
「驚きましたね。
興味は少しあっても、いつでも買えると思うとなかなか買ったりはしない。だけど、これからは店頭ではなかなか入手できなくなる。親孝行したいときには親はなし、なんだかそんなことわざが頭の中によぎる。ちょっと意味は違うけど。
商品そのものもいい味なのだが、商品の箱に書かれた説明書きが、また格別の味わいだ。たとえば「中華そば」の、<ラーメンでも食べようかーーこれほど日本人の食べ物の中で誰にでも好かれ一般的になっているものはほかには見当たらない。>という書き出しから始まり、ラーメンの原料や味などについて詳細に記されている。「だんごや」を見ても、<いささか看板娘のバックアップがあったにしろ、だんごはかくのごとく愛されていた。>と、いちいち名解説だ。他にも寿司やおでん、たこ焼きなど、どの商品もそのルーツや材料などが詳細に記されている。
「どうせなら気合いを入れて作ってみよう」と思い買ったものの途中で放置、結局我が家のデッドストック化していた風物詩シリーズを発掘。あらためて見てみると、部品の数も少なく、シンプルだけど、組むだけで雰囲気が感じ取れる。
今後、河合商会の商品は、生産されることはもうないのだろうか。前出の関係者は言う。
「プラモデルは、金型があれば生産は可能です。たとえば老舗メーカーだったイマイが倒産した後に、サンダーバードやマクロス、ロボダッチなど、人気商品の金型を他社が買い取って再発したこともあります。ですから、どこか他社が金型を引き受けてくれるところがあれば、可能性はないとはいえないですね」
ひとまずは、さようなら。長年おつかれさまでした。
(太田サトル)
他にも寿司屋とかそば屋、農家や水車小屋に、牧場なんていうものもあった。
たいていお城や鎧兜のプラモの近くに置いてある。
地味なたたたずまいで、買う機会も正直少ないけれど、売っているのを見かけると、ちょっとホッとする、いつか作ってみようかと思うような、そんな商品たち。
これらの商品を展開していた模型メーカー、河合商会が、10月15日付で自己破産を申請したというニュースがあった。
創業は1972年。貨車を中心にしたNゲージの鉄道模型や、情景模型用で草などを表現する時に使うカラーパウダーなどでも有名な企業だ。
冒頭に紹介した、屋台や寿司屋などがラインナップされた「風物詩シリーズ」は、第1弾の「そば屋」の発売が1973年で、昭和40年代から実に40年近く続くロングセラー商品となっている。76年からスタートした箱庭シリーズの中には、なぜか草の種が入っていて、撒くと本物の草が生えてくるという、ある意味での「リアル」を追求した商品も。
決してブームになってバカ売れするような商品ではないかと思うが、手ごろ感もあって、一度は組んでみたことがある人も少なくないかと。
そんなメーカーの倒産。もう屋台のプラモを店頭で見かけたり組んだりすることは出来なくなってしまうのだろうか。
ある模型関係者に、聞いてみた。
「驚きましたね。
風物詩シリーズとかは、正直いつでもそこにある、空気か水みたいな存在みたいな存在だったかもしれませんね。ただ、最近は完成品だったり、ペーパークラフトでもクオリティの高いストラクチャー系の商品も増えてきていたので、役割を果たしたのかもしれませんが。どこの模型店でも、店頭の一角には必ずあるような商品なので、店頭から姿を消す状態というのが不思議な感じですね」
興味は少しあっても、いつでも買えると思うとなかなか買ったりはしない。だけど、これからは店頭ではなかなか入手できなくなる。親孝行したいときには親はなし、なんだかそんなことわざが頭の中によぎる。ちょっと意味は違うけど。
商品そのものもいい味なのだが、商品の箱に書かれた説明書きが、また格別の味わいだ。たとえば「中華そば」の、<ラーメンでも食べようかーーこれほど日本人の食べ物の中で誰にでも好かれ一般的になっているものはほかには見当たらない。>という書き出しから始まり、ラーメンの原料や味などについて詳細に記されている。「だんごや」を見ても、<いささか看板娘のバックアップがあったにしろ、だんごはかくのごとく愛されていた。>と、いちいち名解説だ。他にも寿司やおでん、たこ焼きなど、どの商品もそのルーツや材料などが詳細に記されている。
思えば戦車や車、ガンプラなんかにも、説明書にはそのスペックなどが記されているわけだし、そういうことなのだろうか。
「どうせなら気合いを入れて作ってみよう」と思い買ったものの途中で放置、結局我が家のデッドストック化していた風物詩シリーズを発掘。あらためて見てみると、部品の数も少なく、シンプルだけど、組むだけで雰囲気が感じ取れる。
今後、河合商会の商品は、生産されることはもうないのだろうか。前出の関係者は言う。
「プラモデルは、金型があれば生産は可能です。たとえば老舗メーカーだったイマイが倒産した後に、サンダーバードやマクロス、ロボダッチなど、人気商品の金型を他社が買い取って再発したこともあります。ですから、どこか他社が金型を引き受けてくれるところがあれば、可能性はないとはいえないですね」
ひとまずは、さようなら。長年おつかれさまでした。
(太田サトル)
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