だけど、小説を英訳するほどの英語力が、流水にあるんだろうか?
流水は学生時代、英語が得意だったわけじゃない。むしろ超絶劣等生。「30歳の時点で英語力は中学一年生レベル。大げさに言うとThis is a penくらいしかわからない状況ですよ」。それが変わったきっかけは、落ちこぼれの高校生に東大を受験させる大ヒット漫画『ドラゴン桜』だった(ちょっとミーハーっぽいところが、いかにも流水らしい)。『ドラゴン桜』で紹介されていた英単語帳「中学英単語ターゲット1800」を小説執筆の気分転換に眺めているうち、英語学習に目覚めたのだという。BBBの前身であるbbbcircleで英語4コママンガ「Teriyaki Girls」の原作をやったり、十二ヶ月連続刊行小説『パーフェクトワールド』のテーマを「十二ヶ月で英語ができるようになる本」にしてみたり…という頃のTOEICスコアは595点。そのあとも欠かさず学習を続けた結果、2011年でネイティブの中学生、2012年に高校生、今は大学生レベルになっていて、英語力はなお成長している。現在のスコアは985点。満点の990点まであと少しという段階だ。満点を取ったらTOEIC本も出す予定もあり、「TOEIC業界の人」になりつつある。英語力の上昇とともに、英訳にかかる時間もどんどん早くなっているそうだ。
今年四月には、世界初のTOEIC小説(!?)も出す清涼院流水。着々と「日本初」「世界初」を増やし続けている。
(青柳美帆子)