――かるたの試合のシーンを描く際は、どのような点を意識されているのでしょうか?
浅香 動きが速すぎて、ほんの一瞬、2、3コマで札を取ってしまうから(1秒は24コマ)、逆にちゃんと描けないんですよね。観ている人に、何が起きているのか分からせなきゃいけないときは、時間を伸ばしてしまうしかないので。毎回、それは悩みの種です。
――スポーツものの定番の演出として、動きをスローで見せる場合もありますが。「ちはやふる」では、あまり使われてない印象があります。
浅香 かるたを観ていて、すごいと思うのは耳の「感じが良い」(音を聞き分ける能力が高い)とか、腕が速く振れるとか、そういうところだと思うので。そこにスローモーションを入れてしまうと、真逆のことになってしまいますよね。ここぞという場面で、スローモーションを効果的に使うことはできますが、基本的なところでは、速さを見せていくしかない。毎回、朗詠の歌を聴きながら、このシーンは何コマ目で札を取らなくちゃいけないかというところまで決め込んで、その中で何が描けるかを考えています。
――コマ単位で考えられているのですね……。ところで、試合のシーンではないのですが。1期でも2期でも第1話の冒頭は、文字が花びらのように空を舞っている場面から始まっていますね。また、オープニングでも、文字がくるくると回ったりしています。面白い映像だと思うのですが、あの演出はどういったイメージから生まれたのでしょうか?