「ワチャワチャ感が好き」なんて言い方も、かなりポピュラーな表現になっている。
一方で、男性は不思議と、同性に嫌われている女性を好んだり、女性同士がいがみ合う様子を「こえ〜〜」などと言いながら楽しんで見たりする気がする。
なぜ女性は男性同士が仲良くする様に萌え、男性は女性同士のいがみ合いを楽しむのか。
こうした心理の違いについて、「ゆうメンタルクリニック」総院長の、ゆうきゆう先生に聞いた。
「女性が男性同士のじゃれ合いを好むのは、無意識に男性同士のカラミを想像しているからかもしれません。女性である自分自身が安全な位置にいたまま、そういう想像をして喜ぶ女性は、最近増えているようです」
なぜ女性にそういう嗜好が多いかというと……。
「女性のほうが他者に対して警戒心を持ちやすく、心の壁を築いてしまいやすいことと関係していると考えられます。そのため、女性とは無関係な部分でそういう想像をすることで、より楽しめるのかもしれません」
もちろんいわゆる「BL」的なカラミは好まず、単に男性同士がじゃれ合う様子が好きだという女性も多い。それは、「『男同士の壁を感じさせない状態』に和んでしまうと同時に、憧れる気持ちがあるのではないか」という分析だ。
では、逆に、男性が女性のいがみ合いを楽しんでいるように見えるのは何故なのか。
「それは、女性がいがみ合う姿がそれほど普段は見られないからではないでしょうか。女性同士はなかなか本音で言い合ったりはしません。客観的に見ると気付かないということもあるでしょう。
男性としても揉め事を好んでいるわけではないが、「本音を押し殺して表面上仲良くする上っ面だけの関係」よりも、「罵り合ってでも本音をぶつけ合う関係」の方が好ましいと感じてしまうのだと言う。
「衝突し合うあからさまな女性たちよりも、陰でコソコソと悪口を言っている女性の方が男性にとっては『怖い』ものですし、見たくない&知りたくないものなのです」
また、男性は嫉妬や怒りといったネガティブな感情を、「男らしくない」という理由から、あまり認めたがらない傾向にあるそうだ。
執念深く何かを覚えていたり、嫉妬などの感情を持っていたりするという「女々しい」部分は、自己嫌悪の原因にもなるため、積極的に「自分はそうではない」と思おうとする部分があり、その方法の1つとして「他者にそれを見いだして区別を図る」ことがあると言う。
「『あの女性はこの女性を嫌っている』『あの女性はこの女性に嫉妬している』といった見方を必要以上にしてしまう男性は、『男の自分はそんなことはしない』『あんないがみ合う女性達とは違うのだ』と区別しようとします」
「男性同士の関係は熱い友情で結ばれていて、女性同士の関係は表面上相手に合わせて内側はドロドロしてる」といった見方は、男女いずれにもあるようだ。
ただし、現実には男同士も案外ドロドロしているし、女同士も案外さっぱりしている気がするけれど……。
(田幸和歌子)
※ゆうきゆう 精神科医 著書多数。
ゆうメンタルクリニック総院長 上野院、池袋院、新宿院、渋谷院。静かで癒される都会のオアシスとして評判が高い。