記事の最後に、取ってつけたような一文。
えぇぇ、こんな小さな扱いでいいの!? 2000本安打だよ! あの「安打製造機・張本勲」の偉大な記録だよ!!
『粘着! プロ野球むしかえしニュース』(山田隆道・著)は、スポーツ紙、週刊誌、野球専門誌で過去に掲載された記事をむしかえし、選手や球界、そしてときにメディア自身の恥ずかしい過去をさらしてしまう、読者にとってはただただ愉快な一冊である。
その第一章でイキナリさらされていたのが「パ・リーグとスポーツ新聞の希薄すぎる関係」であり、球界の御意見番もかつてはこんな惨めな扱いだった、という事実だ。
昨今、川崎宗則のアメリカでの報道(人気ぶり)に「喝!」を入れ、さらにそれをダルビッシュがむしかえして話題になっている、ハリさんこと張本勲。それこれも、自身の過去の小さすぎる報道履歴から来たやっかみだったのかも……と考えると少し可愛く思えてくる。
そして、「なおマ」の原型がこんなところにあったとは驚きです。
本書では他にも
「工藤公康がヤンチャな新人類だった頃」
「デブ選手の最高傑作! ドカベン香川の悲喜劇」
「新聞報道でむしかえす落合博満の歴史」
「世にも怪しい沢村栄治伝説」
「野村克也の変説 あのときノムさんは若かった」
「星野仙一が見せた凄まじい自己顕示欲」
……などなど、プロ野球の様々な歴史・事件簿を、その時メディアがどう報じていたのか、という視点から改めて検証していく。