ローソン、マクドナルド、スターバックス、モスバーガー、松屋、佐川急便の集荷所などなど……どこの町にもあるようなチェーン店が、景観保護の厳しい京都ではひと味違う。赤や黄色などのけばけばしい色は使えないということで、マクドナルドのアイデンティティ!?ともいうべきあの赤い看板がえび茶色のようなシックな色になっているのは有名な話。


先日、京都に行った際にチェーン店に注目しながら歩いてみたので、その中から特に印象的だったものをご紹介したい。まず、1つ目は祇園の八坂神社前にある町家風のローソン。おなじみのブルー×ピンクの看板が、ホワイト×ブラック(!)という落ち着いたものになり、格子戸風のあしらいまである。入ってみたところ、品揃えはちょっとしたお土産コーナーがあるくらいでふつうのローソンと変わりない。しかし、外国人観光客が冷たいドリンクやアイスを買ったりと、大賑わいであった。

2つ目は、そのすぐそばにある「祇園佐川急便」。これが江戸時代の「飛脚屋」っぽくてすごい!! 荷物を送る予定がなくても、思わず入ってみたくなる店構えだ。京都は佐川急便の発祥の地でもあるそうだが、ここまで個性的な店舗は祇園だけではないだろうか。スタッフも時代劇に出てくる飛脚っぽい姿で、佐川男子ならぬ、キュートな佐川女子が多数大活躍しているのも特徴。てぬぐい、お香、あぶらとり紙など祇園佐川急便だけのオリジナルみやげも充実している。祇園の舞妓さん、芸妓さんたちのお届けものにも大活躍しているのだろう、店内には名入り団扇がたくさん飾ってあった。

3つ目は、なんといっても「スターバックス」。
三条大橋のたもとにある川床スタバは有名だが、私のお気に入りは「烏丸六角店」。ここは町家風の建物というわけではないのだが、聖徳太子が建立したといわれる「六角堂」のすぐ横にあるため、なんと全面ガラス張り!!
六角堂の佇まいを、思いっきり生かした内装になっているのだ。コーヒー1杯で、京都らしい風情をしみじみ楽しむことができる、なんとも贅沢なスタバなのである。スターバックスのサイトを見ると、「コンセプトストア」として日本全国の個性あるスタバが紹介されているので、出張の多い人などはその土地のコンセプトストアをチェックしてみるのもイイかも!

さらに、「モスバーガー」や「松屋」「吉野屋」「さと」「ケンタッキーフライドチキン」「マツモトキヨシ」「三菱東京UFJ銀行」などのチェーンは町家風にするまではしていないものの、看板をとりあえず白地にして、単色で控えめにロゴをあしらう……などの工夫が見受けられた。「サイゼリア」などはグリーンと白を反転させており、非常~に微妙な違いなのだけれど、気付くとちょっとうれしかったりする。有名な神社仏閣に近ければ近いほど、規制が厳しくなるようだ。

最後に全国チェーンではないものの、ぜひ立ち寄っていただきたいのは二条城近くにあるスーパー「Fresco(フレスコ)」堀川店。Frescoは大阪、京都、滋賀など関西圏を中心に展開するスーパーだが、堀川店の風情ある和モダンな外観は衝撃的!! ここは京都の地元メーカーの食品が充実しており、隠れたおみやげスポットしてもおすすめだ。京都人がふだん食べている独特の食材やお総菜がリーズナブルに手に入るのがうれしい。6月末に訪れたのだが、京の初夏に欠かせない、氷を模した暑気払いの和菓子「水無月」が充実していたことにも感動! 

もちろん、スーパーだけに日持ちしない生鮮品が多いので、新幹線にのる直前など立ち寄る時間がある場合に限られるのだけれど……そんなわけで、京都人にとっては「今さら」な話題なのかもしれないが、旅人目線だとちょっと新鮮な発見だった。
(まめこ)
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