ついに2014年を迎えた。新年というだけでついつい縁起を担ぎたくなるもの。
全国各地でさまざまな縁起担ぎや新年の迎え方が見られるこの季節。古都京都では、そんな新年に向けて“福玉”というものを販売することをご存じだろうか。

観光地としても有名な祇園。こちらでは年の瀬が迫ると、お店の入口に20センチ前後の丸い紅白玉が吊されるようになる。これが“福玉”だ。

もともとは祇園で働く舞妓さんが、お茶屋さんやお馴染みのお客さんより貰うものだった。
可愛らしい福玉を手にして祇園を歩く舞妓さんの姿は、京都の暮れの名物だったに違い無い。

しかし、これはただの丸い飾りではない。中には、招き猫や年神様の飾りなど、さまざまな縁起物が入っているのである。

何が入っているのか、すぐに開けて見たくなるが、そこはじっと我慢。これは、年が明けてから開封するという決まりがあるのだ。何が出てくるか分からない楽しみと、正月一番に開封するという特別感。
まさにハレの日にふさわしい一品だ。

さらに開けて中を取りだして終わり。というわけではない。
容器に当たる丸い玉は最中や餅米から作られているので、中を取りだした後は食べることだってできるのだ。
年の瀬、12月半ば頃から各店で販売がスタート。紅白の玉が見え始めると「ああ正月が近いなあ」と思わせる、季節のアイテムなのである。


舞妓さんから端を発し、一般の家庭や観光客にも人気を集め、京都でも一時は多くの店が取り扱っていた福玉。数十年前までは、あちこちの店頭でみられたそうだ。しかし手作りゆえの難しさか職人の数の減少か、最近では販売店舗が減ってきているという。ぜひ新年の風景として、残し続けてほしい文化である。

もし福玉を買えない場合、自分で手作りしてしまうのもひとつの手。その場合、玉を丸い発泡スチロールで代用すれば、より簡単だ。
玉を華やかな色で彩って、中にさまざまな縁起物を詰め込んで、友人や家族同士で交換。年始、一斉に開けて中を確認……なんて遊びを取り入れると、ハレの日がますます華やかに、そして楽しくなるかもしれない。

新しく迎えた2014年。こんな楽しい遊びで迎えてみては。
(のなかなおみ)