しかし、ベルギーが誇るのは、それだけにあらず。
そんなベルギービールの魅力を日本でもたっぷり味わえるイベントが、2010年から開催されている「ベルギービールウィークエンド」だ。もともとはベルギーの首都ブリュッセルで毎年9月に開催されているイベントだが、4年前についにベルギーを飛び出して日本でも開催されるように! 実は私自身、初回から通っているのだが、年々半端ないパワーアップを繰り返してきている。
まず、驚くのがその規模の拡大ぶり。1年目は東京で3日間だけだったが、5年目となる今年は全国6都市で、47日間にわたって開催。すでに名古屋と福岡、大阪は終了しているが、横浜(7/2~7/6)、仙台(7/10~13)、東京(9/4~15)はこれから! 全体の想定来場者数は16万人にのぼり、なんと初回に比べると10倍以上だ。
女性の来場者が多いのも、このイベントの特徴だ。昨年の来場者は、52.5%と僅差ではあるが女性のほうが多かった。
さらに今年の新たな目玉となるのが、「フリッツ」だ。
フリッツとは、フライドポテトのこと。英語ではフレンチフライというので、フランス発祥と思っている人も多いかもしれないが、実はベルギー発祥。17世紀、ベルギー南部のナミュール地方で生まれたものだ。同地方の人たちは川の小魚を揚げて食べていたのだが、冬の寒さがきびしく漁ができなかった年に、ポテトを小魚に似せてスティック状にカットして揚げたのがはじまりといわれる。フレンチフライという呼び名は、アメリカ兵がベルギーのフランス語圏でフリッツを食べたことに由来。フランス語の会話を聞いたアメリカ人が、フレンチフライと呼んだらしい。
フリッツはベルギーでは食べ歩きの定番グルメであり、街なかにはフリッツ専門の屋台「フリットコット」があちこちにある。ベルギー人の一人あたりのポテトの年間消費量は76.2kgで、なんと日本人のお米の年間消費量より多いというからビックリ! フリットコットの数は国内に5000もあり、今年1月には政府によって無形文化遺産にも登録されている。そんなフリットコットが同イベントにも初登場するのだ。
イベントにはベルギーのアーティストなども来場し、とにかく大盛り上がり! 全体で99種類も提供されるというビールはもちろん、意外に知らないベルギーの美食やライフスタイルに触れられる貴重な機会でもある。ビール好きなら、絶対に逃せないイベントだ。
(古屋江美子)