
もともと絵本(2012年に日本語版『キュッパのはくぶつかん』<福音館書店/1300円税抜>も刊行)の主人公だったこのキュッパは、3頭身スタイルがなんとも愛らしい丸太の男の子。森に住んでいて、友達のモミの木のググランと毎日出かけては見つけたものを持ち帰り、集めたモノについて調べたりもする。好奇心旺盛で、意外と(!?)勉強熱心な男の子なのである。

公式ウェブサイトでは絵本のストーリーをベースにしたショートアニメも無料で配信中。キャラクターのセリフはなく登場人物も少なめで、ストーリーはごくごくシンプルなのだが、カラフルな絵柄とキュッパのかわいらしい動きがとにかくキュート。見ていると不思議と、とても心和む内容になっている。

このキュッパのカラフルでキュートな世界観がハマっているのが、ステーショナリーを中心とするキャラクター雑貨。ポストカードやマスキングテープ、トートバッグなどのほか、老舗メーカーのノリタケとコラボしたマグカップなどの食器類も好評なのだそう。また、こういったグッズの展示やキュッパをデザインしたラテアートやケーキ、作品展示などが楽しめるカフェ『KUBBE Kafe』も不定期開催されており、リピーターも多いのだとか。

このキャラクターがなぜいま日本でウケているのか、“KUBBE(キュッパ)”のアニメなどを手がけ、日本での展開を中心に行っている株式会社トムス・エンタテインメントのプロジェクト担当者に聞いてみた。
「日本ではキュッパを『ノルウェー生まれのふしぎ可愛いキャラクター』として紹介しています。ノルウェーを舞台にした自然あふれる世界観と、素朴で温かみのあるキュッパの作品には、日本の絵本やアニメにはない北欧ならではの魅力があります。
そして大人世代にはちょっとしたノスタルジーを感じさせるのが、“キュッパはモノを集めるのが大好き”という点かもしれない。キレイな色の傘の柄だったり、キラキラ光る石、カラフルなハサミ……。なんでもないものをせっせと集めては、大事に箱にしまう。私たちも子供の頃、こんな風にやたらにお気に入りのモノを集めては、親に怒られたりしていなかっただろうか。
「キュッパはモノを価値のあるものとして、大切にしています。私たちのまわりにあふれるさまざまなモノ、便利なモノ、キレイなモノ。その当たり前にそこにあるモノたちが、キュッパの世界を通すと、輝いて見えてきます。先入観を捨てモノをいろんな角度からみることで、日常はもっと豊かに楽しくなるということを、キュッパは気づかせてくれます」(キュッパプロジェクト担当者)
キュッパの絵本やアニメを見ていて不思議と気分がスッキリするのは、そんな心のリセット効果があるからなのかもしれない。ゆるカワイイのに、意外と深い、のである。
(古知屋ジュン)