「働く気がないなら、食べるな」
「わがまま言わず、我慢して働け」
しばしばこんな言葉を投げつけられる彼ら───「ニート」や「ひきこもり」たち。
就労意欲が皆無で、家族以外と会話せず、一日中家に閉じこもり、ゲームやネットに没頭……そんなイメージが浸透している。
しかし、『無業社会 働くことができない若者たちの未来』によれば、これらは極端なケースであるという。
著者のひとり工藤啓は、若者の就労支援などを行う「NPO法人育て上げネット」の理事長。共著者の西田亮介は、情報社会論と公共政策学を専門とする社会学者だ。
ふたりは昨年10月に、若年無業者2000人超への調査結果をまとめた『若年無業者白書 その実態と社会経済構造分析』【Kindle版】を自費出版で上梓している。
本書における若年無業者は、以下の3点を満たす個人を指す。
(1)大学などの学校及び予備校・専修学校に通学していない
(2)配偶者のいない独身者
(3)ふだん収入を伴う仕事をしていない15歳以上35歳未満
さらに3つの類型に分類できる。
(a)就業を希望し、求職活動を行っている「求職型」
(b)就業を希望しながら、求職活動をしていない「非求職型」
(c)就業希望を表明していない「非希望型」
特に「非希望型」は「親のすねをかじり、家でごろごろしているだけ」「口ばっかりで、世間の厳しさをしらない」「ニートは甘え!」と、メディアやネットなどで批難の対象となりがちである。