今回、侍ジャパンプロジェクトでは、日米野球を盛り上げるために「野球マンガ日本代表」なる企画を立ち上げ、マンガの世界から5選手を侍ジャパンに選出して話題を呼んでいる。
選ばれたのは、谷口タカオ(キャプテン)、上杉達也(タッチ)、茂野吾郎(MAJOR)、三橋廉(おおきく振りかぶって)、沢村栄純(ダイヤのA)の5人。
それぞれ、70年代(『キャプテン』)、80年代(『タッチ』)、90年代(『MAJOR』)、2000年代(『おおきく振りかぶって』と『ダイヤのエース』)を代表する野球マンガたち。なのに、恐れ多くもこの5人の中に割って入ろうとした新人選手がいる。
猫のミー太郎(オス、1歳、ヨリウミ ニャイアンツ所属)だ。
▼猫ピッチャー、侍ジャパンメンバーから漏れる さらに「野球マンガ代表」からも漏れる
『猫ピッチャー』とは、読売新聞日曜版で連載している野球マンガのこと。その主人公が、球界初の猫野球選手、ミー太郎だ。
代表選出は叶わなかったミー太郎。でも侍ジャパンの温情により、ミー太郎が普段つけている「222」のユニフォームの支給が特例で認められ、日米野球期間に合わせてグッズ化されるという。
さすがグッズ化されるだけあって、この猫ピッチャーがとにかくかわいい。
これまで、数えきれないほど描かれてきた野球マンガの主人公の中で、かわいさ、でいえばぶっちぎりで一番かもしれない。
ザワさん? アイドルA? マックミラン?
いやいや、彼女らでもかわいさでは太刀打ちできない。だって猫だもの。
もう出し尽くした感のあった野球マンガというジャンルの表現方法。
でも、猫に野球をさせるとは、野球文化の奥深さを痛感せざるを得ない。
猫、なのに投げる球はMAX147キロの超本格派。
ボールを挟んだり手首をひねったりが出来ないので変化球は投げられないが、なぜか魔球はバリエーションも豊富。
そしてなにより、猫、であるが故のかわいさで、相手打者たちを翻弄する。
(ちなみに猫なのは主人公のミー太郎だけで、他の選手はすべて人間)
猫好き打者はミー太郎に見とれてなかなか打つことができない。
一方で犬好き打者ばかりをズラリ並べて対抗しようとするチームも現れる。さぁ、どうするミー太郎。
といっても、勝負のあやとか対決シーンよりも、ダッグアウトに戻ってベンチやバットで爪をといで監督に怒られたり、肉球がチクチクするから人工芝の球場を苦手にしたり、クラブハウスでは他の選手の着替えの上でゴロゴロしたりと、猫特有の習性やしぐさが野球場でどんな影響を及ぼすのかを見るのが楽しい。
読売新聞日曜版での連載をまとめたコミックは現在2巻まで刊行され、あわせて30万部を突破。
さらにはアニメ化され、着ぐるみがイベントに出演したりと人気を集めている。
読売新聞日曜版といえば、かつて「ライトで8番」=ヘタクソ、というカルチャーを根付かせた伝説の野球マンガ『ライパチくん』が連載されていた、ある意味で由緒正しい野球マンガ枠だ。
(オグマナオト)