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「その瞬間! この宇宙は蟹缶になってしまう」発想の天才、赤瀬川原平を追悼3■貧乏性という超芸術

『文藝別冊 赤瀬川原平』)。

赤瀬川が映画「利休」(勅使河原宏監督)の脚本を手がけたのは、それより前、1989年のこと。その公開の翌年には、利休を通して、前衛芸術の本質や赤瀬川自身の芸術活動を顧みた著書『千利休 無言の前衛』を岩波新書から刊行した。そこでは、一坪だけの茶室などを例に、極小のものにより多くのものを格納しようとした利休の美意識が、不要になった輪ゴムをつい貯めてしまうような「貧乏性の美学」と同列に論じられていた。

■「分譲主義」から「トマソン」へ
赤瀬川は、自宅の各設備をほかの場所に分散して持つという「分譲主義」なるものを、イメージ上の遊びとして提唱していたことがある。これは、フリーランスのデザイナーや広告関係者などのあいだで、自宅とはべつに事務所やセカンドハウスを持つ傾向が出てきたのに着想を得たものだった。

赤瀬川が尾辻克彦のペンネームで書いた小説「風の吹く部屋」(1981年。『国旗が垂れる』所収)でも、著者の分身と思しき父親と小学生の娘が、自宅から電車に乗って風呂場に出かける。といっても銭湯ではない。あくまで父子が自分たちの風呂場として借りているものだ。その作品の終わりがけ、娘が今度は廊下が欲しいと言い出し、父子は風呂の帰りに不動産屋に立ち寄った。だが、《あのう、うちは風呂場は高円寺なんだけど、いま住んでいるのが国分寺なんで、まァ、吉祥寺か三鷹あたりに廊下があれば理想的だと……》
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