市場を賑わすボジョレーヌーボーの季節がやってきた。ボジョレーを中心に、色々なワインの話題が上がりがちなこの季節。
せっかくなので日本の昔ながら、なワインに注目してみてはいかがだろうか。

それは、サントリーさんが販売している「赤玉スイートワイン」
大きな赤い丸のデザインでお馴染みのお酒だが、現在放映中のNHK連続テレビ小説「マッサン」では、「太陽ワイン」という名前で取り上げられ話題となっている。こちらの生まれは1907年(明治40)。当時の名前は「赤玉ポートワイン」。

実はこのワインが登場する以前、サントリーを創業した鳥井信治郎氏は、「日本に西洋のワインを広めたい」と、西洋から取り寄せたワインを売りだした。
しかし、当時の日本人からすると慣れない味のせいか、全く売れない。そこで日本人好みのワインを。と、造られたのがこのワイン。
通常のワインからすると、甘めなのが赤玉の特徴。本当に、これはワインとして分類してもいいのだろうか。

そもそもワイン(葡萄酒)とはブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料(醸造酒)のこと。

「日本の酒税法ではこれらの多くのものが果実酒に分類されています」
と、サントリーさんは言う。さらに、
「日本の酒税法上、果実酒には属さない特殊な製法のものもあり、こちらも広義の意味で「ワイン」と呼称されます」
例えば、ブランデーなどのアルコールを添加してアルコール度数を高めたり、ワインを造る途中でアルコールの添加によって発酵を止めて糖分の多い甘めのワインに仕上げるなど、世界各国でこのようなワインは多い。
「これらは、酒精強化ワインといい日本の酒税法ではこれらの多くのものが甘味果実酒に分類されるのですが、赤玉もこの酒精強化ワインの仲間となります」
なので、赤玉スイートワインはれっきとした「ワイン」なのである。

ワインというからには新酒のシーズンというものはあるのだろうか。伺ってみるとそれは「ございません」とのこと。逆に考えてみれば、年中、いつでも安定して美味しい味を保っているということか。


しかし非常に甘い味わいの赤玉。料理とのマリアージュはどうなのだろう。「煮込み料理や照り焼きなど、甘めの味付けのお料理がおすすめです」ということで、特にこれからはクリスマスなど、しっかりとした味付けの煮込み料理が増える季節。甘い赤玉とそんな料理はぴったり合うそう。
さらには、そんな赤玉をお肉や野菜と一緒に煮込むと赤玉の成分でお肉は柔らかく、アサリの炊き込みご飯に加えると、アサリの臭みが飛んで味がまろやかに……と、調味料としての使い方もサントリーさんはおすすめしている。

さらに、赤玉の可能性を広げる新作が、今年の9月に登場した。
それはホット専用赤玉。マグカップに入れてレンジであたためるだけで気軽にホットの赤玉が飲める、というもの。

この世に生まれてすでに100年以上。日本人の、日本人のための、日本人の舌に合わせて造られたまさに純製ワイン。
ワインで賑わうこの季節、和製ワインに思いをはせてみては。
(のなかなおみ)