水島新司のライフワーク、漫画『あぶさん』の連載が終了して、まもなく1年が過ぎようとしている。
40歳を越え、南海からダイエーへと球団が変わった辺りから年々超人化していったあぶさんこと景浦安武。それゆえ、南海時代のエピソードの方が人間味があって面白かった、と懐かしがるファンも多い。
その背景には、ひと振りにかける刹那的な代打稼業の生き様と、当時の南海とパ・リーグの独特な暗さや緊張感とマッチしていた点もあるだろう。

いずれにせよ、漫画『あぶさん』の存在が、プロ野球における「代打」という役割にスポットを当てた意義は大きい。
今も昔も、代打稼業に挑む男たちは、そのひと振りでチームの勢いを一変させ、球場の雰囲気までも変える力を持っている。
だから、惹かれてしまう。

昨シーズンだけを見ても、
引退を決めてから何度もチームを救った日本ハムの稲葉篤紀、
中日で代打の切り札として復活した小笠原道大、
阪神タイガースの代打の系譜を今に受け継ぐ関本賢太郎、etc.
彼らが打席に立つ瞬間こそ、その日一番の歓声があがることが多かった。

そんな男たちの生き様をまとめた本が出た。
『代打の神様 ただひと振りに生きる』

著者の澤宮優は、これまでにもスカウト、三塁ベースコーチ、打撃投手など、球界をまぶしく照らすスポットライトの影になりがちな男たちをテーマに選び、その生き様を描き続けるノンフィクション作家だ。

本書では、
桧山進次郎(阪神)
高井保弘(阪急)