第1集「二階ぞめき」「文七元結」「品川心中」「らくだ」
第2集「粗忽長屋」「お化け長屋」「芝居の喧嘩」「木乃伊取り」「権助提灯」
第3集「五貫裁き」「洒落小町」「雑俳」「文七元結」「桑名船」
第4集「慶安太平記」「紺屋高尾」「代書屋」「お化け長屋」
第5集「松曳き」「白井権八(鈴ヶ森)」
第6集「寝床」「持参金」「五貫裁き」「二人旅」
第7集「六尺棒」「よかちょろ」「木乃伊取り」「漫談」
第8集「お化け長屋」「小言幸兵衛」「かぼちゃ屋」「阿武松」
第9集「富久」「粗忽長屋」「松曳き」「疝気の虫」「山号寺号」
第10集「東横落語会 雑感」「芸は人なり50年」
東横落語会は鬼才と謳われたプロデューサー湯浅喜久治が1956年に始めたものだが、談志は湯浅とは二つ目の柳家小ゑん時代に衝突したこともあり、この会に対してそれほどの思い入れもなかったようだ。東横落語会終焉間近いころに独演会で吐いた本音が第10集の「雑感」である。「芸は人なり50年」が冒頭に紹介した鼎談である。
演目をご覧いただければ判るとおりネタの重複も多い。コアな談志ファンには聴き比べができて好評だろうが、そうでもない方にはせっかくの機会なのに、ともったいなく感じられるかもしれない。
全29のネタの中から1つ選ぶとすれば、私ならば第6集の「二人旅」だ。「二人旅」は江戸を発った二人連れが脇街道に入り、宿屋どころか食事をする場所もないことに弱り果てた挙句、一膳めし屋を発見するという話だが、空腹を紛らわせようとして二人が行う掛け合いがおもしろく、むしろめし屋に入ってからのくだりはおまけに近い観がある。