ベトナム中部の都市「ダナン」は南部ホーチミン、北部ハノイに次ぐ、ベトナム第3の都市。人口は100万人弱で、ベトナム中部の商業の中心地である。
2014年からは成田空港から直行便も飛ぶようになり、日本との距離もグッと縮まった。700万人以上の人々が暮らすホーチミン市やハノイに比べれば、バイク天国ぶりも控えめな地方都市だが、港町としての活気に溢れ、ビーチリゾートの開発も目覚ましく、なんだか元気がいい。

しかも昨年末には、世界的な旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が発表した「トラベラーズチョイス(TM) 人気上昇中の観光都市2014」で1位を獲得。同ランキングは前年と比較して口コミでの評価や注目度が特に上昇した観光都市をランキングしたものであり、旅行者からの注目も熱い街なのだ。

旅行口コミサイトで人気上昇中の観光都市1位に選ばれたベトナムの新名所「ダナン」とは?
ダナン駅。駅前にSLが置かれているが新橋駅ではない


魅力のひとつは美しいビーチ。白い砂浜が続くダナンのビーチ沿いには、高級ホテルが次々と建てられ、ビーチリゾートとしての人気も急上昇中。またベトナム中部は、国内に8つある世界遺産のうち4つが集まっており、見どころの宝庫。ダナンはそれらの観光の拠点にもなる。

加えて、ダナンという街自体もおもしろい。いわゆる定番の観光スポットは少ないが、今まさに新たな観光スポットが続々生まれているところ。どれも派手でユニーク、好景気を感じさせる勢いがあり、一見の価値がある。

2013年3月に完成したドラゴンブリッジも新名所のひとつ。
その名のとおり、龍の形をしたかなり大胆なデザインが目を引く、全長666m、幅37.5m、6車線の大きな橋だ。夜は色とりどりにライトアップされ、多くの人が見にやってくる。

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(上)ドラゴンブリッジ。昼間に遠くから見るとこんな感じ (中)夜のライトアップ。夕涼みがてら楽しむ人多数。橋の上の歩道にも人が多い (下)色は緑や青にも変わる。よく見ると目がハートでカワイイ


今回は残念ながらスケジュールが合わなかったが、土日の夜には一時的に橋を通行止めにし、ドラゴンが火を吐く演出もあり、毎回地元の人や観光客でにぎわう。火を数回吐いた後には大量の水も吐き、近くで見ているとずぶ濡れになるが、これが現地の人には大ウケだとか。暑い国ならではのパフォーマンスだ。

ドラゴンブリッジのすぐ近くに住んでいるという現地ガイドさんも、「みんなこの橋ができて嬉しいと思ってるね。友だちとか来たら絶対に見せにくるよ」とにっこり。どうやら地元の人にとっても自慢の橋のようだ。

橋のすぐ近くには、今年4月にできたばかりの新スポット、通称「マードラゴン」の像もある。口から勢いよく水を吐く姿は、どこかシンガポールのマーライオンを彷彿とさせるが、こちらは半分がドラゴンで、半分が鯉。正式名称は「カーチェップホアーロン」という。

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高さ7.5mのマードラゴン。ドラゴンブリッジと一緒に写せば、ダナンが誇るWドラゴンの共演に


「カーチェプホアーロン」とは、日本語に訳すと「鯉ドラゴン」。
“竜門を登ることのできた鯉だけが竜になれる”という中国の故事(いわゆる“鯉の滝登り”)に由来するもので、立身出世のシンボルでもある。

ドラゴンブリッジ同様、こちらも時間と共に色が変わるカラフルなライトアップが見もの。口から吐く水もかなりの量で、風向きによっては結構濡れるが、みんなお構いなしで記念撮影に夢中。むしろ濡れることを楽しんでいるようにすら見える。

さらにその横には「愛の桟橋」なる新スポットも登場。こちらは橋の欄干に南京錠をつけて永遠の愛を誓う恋人向けのスポットである。欧米ではよく見るが、アジアではちょっと珍しい。ただ、昨年、パリで同様の橋がカギの重みで壊れるというニュースもあったから耐久性などは気になるところだ。

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「愛の桟橋」。長さ68m、幅6mの橋。金曜夜ともあって、かなりの人出


こうした派手な夜景を一望できるのが、昨年6月にオープンした「SKY36」。「ノボテル・ダナン・プレミア・ハンリバー」の35階と36階にあるルーフトップバーで、166メートルの高さはなんとベトナム一。ドレスコードが設けられ少々ハイソ感が漂う店内では、アッパーなヒップホップやEDMがガンガンにかかり、ノリはクラブっぽい(が、踊っている人はほとんどいなかった)。

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「SKY36」から見たソンハン橋のライトアップ。歌手のステージ衣装のような迫力のライティング


こうしたダナンの新スポットに加え、見ごたえのある世界遺産巡りもできるのがベトナム中部の醍醐味だ。
ダナンから車で30分の世界遺産の街ホイアンは、1999年に古い町並みが世界遺産に登録されたところで、夜になるとランタンが灯り、幻想的な雰囲気になる。過去には日本人も住んでいたため、通称“日本橋”と呼ばれる「来遠橋」などゆかりのスポットもあり、なんとなくほっとする。

また、ダナンから約1時間のフエは、ベトナム最後の王朝の都がおかれた町で、いわばベトナムの京都。1993年にベトナム初の世界遺産に登録されたフエの建造物群や宮廷料理を堪能できる。

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(上)ホイアンの旧市街 (下)フエの阮朝王宮


ビーチに世界遺産にバブリーなイルミネーションに……と趣の違うベトナムを一度に楽しめるダナン。ホーチミン市やハノイに比べると、日本における知名度はまだそれほど高くないが、ダナンへは成田空港からはベトナム航空が週に5便(※7~9月の夏季は毎日)直行便を飛ばしており、フライト時間も約5時間半と近い。

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ベトナム航空の客室乗務員の制服はアオザイ。素敵!


今まさに次々に新しい見どころが生まれているダナンの街。大ブームになる前にぜひチェックしてみては? 
(取材協力:ベトナム航空)

(古屋江美子)
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