司会の大西ライオンが噛み倒しながら幕を開けたのは、TBS『キングオブコント 2015』予選1回戦。
場所はよしもと幕張イオンモール劇場。

予選初日の7月6日(月)、エントリーしたのは136組(出場者一覧)。先月6月に漫才新人大賞を受賞した湘南デストラーデ、昨年『THE MANZAI』でファイナリストとなった馬鹿よ貴方は、渋谷コントセンターでも公演を務めるマッハスピード豪速球などが名を連ねる。持ち時間は1組2分で、暗転を挟んで次々とネタを披露する。純粋に掛け算すると272分≒約4時間半にも渡る長丁場である。
賞レースの予選を鑑賞するのは初めて。事前に劇場にもよく行く嫁さんから「予選は玉石混交だよ」と話を聞き、恐る恐るといった感じで観始めたのだけど、とても面白い!
時間の都合上、残念ながら30組程度しか鑑賞できなかったのだけど、賞レースの予選というのは通常のライブとは違う、独特の空気や戦略がある。次々入れ替わるコント師たちを見ながら、そのことを考えていた。

予選1回戦の鍵を握る「2分の壁」
ひとつの壁となるのが、2分という制限時間。しゃべくりの漫才と違い、シチュエーションの説明や演劇的な間を必要とするコントで「2分」という短さはとても難しい。
状況説明を費やすと時間が足りなくなる。
また、2回戦以降は制限時間が4分となる。ネタ作りの際に、4分のネタを作ってから2分に縮めるアプローチを取ることも多い。切り出し方を間違えると、詰め込みすぎて駆け足になったり、ここ?というところで終わってしまう。
どうやってバランスよく「2分」に収めるのか、ずっと気になって観てしまった。状況や展開を全て言葉で説明すると時間がもったいないし、会話の不自然さも残ってしまう。それより、場面を絞ったり、動きや表情に任せるなど、「いかに引くか」を工夫している組が多く笑いを取るように感じた。「短時間にボケの手数を詰め込む」というレース用漫才のアプローチとは逆の構図になっている。
2回戦以降の4分尺になれば、会話を積み重ねたり、伏線を張るネタも可能になる。1回戦でも「もっと見たいな」と思わせるネタがいくつもあった。2分に縮めたネタが、4分尺になったらどういう展開になるのかも観てみたいな、と思う。
「びっくりしたなぁ、モウ!」ベテラン芸人もキングオブコント参戦
また、この日は二代目 三波伸介率いる「まんてんトリオ」が、キングオブコントの参戦を表明した。

三波伸介といえば”昭和最後の喜劇王”とも言われ、まさに”キングオブコント”とも言える重鎮。『笑点』の司会も努め、伊東四朗・戸塚睦夫と組んだ「てんぷくトリオ」はテレビ黎明期のお笑いを牽引した存在だ。
その三波伸介の死から33年。息子である二代目 三波伸介が組んだ「まんてんトリオ」は、現役レスラーのシライと、ヘアメイクのオケイというメンバー。奇抜な外見に反してその芸風は「芸風は、まぁ古いですね。浅草オペラを起点とする伝統芸能です」と語る。
会見にはてんぷくトリオの元メンバー・伊東四朗から直筆メッセージが届いた。”越えて見せろ!そのとき私は泣く!”という言葉を受け、「目標は一回戦突破……いや、なでしこと並んで準優勝で。準優勝は賞金出るの?出ない?じゃ優勝で!」と上方修正した。
これまでもレジェンドクラスのベテラン芸人が賞レースに参戦したことがある。2010年にはおぼん・こぼんが『キングオブコント 2010』に参戦し3回戦で敗退、昨年はザ・ぼんちが『THE MANZAI 2014』に出場し認定漫才師となっている。いずれも決勝進出は果たしていない。

『キングオブコント2015』の予選1回戦は東京・大阪など全国の各劇場で8月2日まで開催。2回戦は8月12日から、準決勝は8月27,28日に赤坂BLITZで行われる。
「決勝はTBS系列で生放送される予定です。予定……ですからね、放送されないかもしれないですけども」
と、MCの大西ライオンは言っていました。
(井上マサキ)