スキマスイッチ バンド編成で初めて日本武道館のステージに立つ
撮影/岩佐篤樹

■スキマスイッチ TOUR 2015“SUKIMASWITCH”SPECIAL
2015.06.30(TUE)日本武道館
(※画像10点)

ビートルズから49年、日本武道館のステージで
スキマスイッチが自らの“POPMAN”ぶりを証明した夜


昨年12月にリリースした初のセルフタイトルアルバムを引っさげ、今年1月から全国ツアー【スキマスイッチ TOUR 2015 “SUKIMASWITCH”】を行っていたスキマスイッチの二人。その全32公演すべてが即日完売したことを受け、急遽追加公演として日本武道館と大阪城ホールでの【スキマスイッチ TOUR 2015 “SUKIMASWITCH”SPECIAL】が決定。
エキサイトミュージックでは6月30日、7月1日の2日間にわたって開催された日本武道館公演の初日の様子をレポートする。

スキマスイッチ バンド編成で初めて日本武道館のステージに立つ
撮影/岩佐篤樹

アルバム『スキマスイッチ』のブックレットに描かれた古城へと向かうオープニング映像を経て、バンドメンバーそしてスキマスイッチの二人がステージに登場。大橋卓弥は両手を挙げ、常田真太郎も笑顔だ。それぞれの定位置に着き、石成正人のギターが印象的なイントロを放つ「Ah Yeah!!」でライヴの幕は開けた。

勢いのある楽曲に観客はすでに総立ち、サビのコーラスでは客席中が振り回すタオルに埋め尽くされ、ライブ冒頭とは思えないくらいの盛り上がりだ。続く「トラベラーズ・ハイ」でも、ホーン隊の華やかな音色が楽曲に花を添える。
大橋もギターからハンドマイクに持ち替え、1階席ぎりぎりにまで左右に延びたステージを走り回った。

スキマスイッチ バンド編成で初めて日本武道館のステージに立つ
撮影/岩佐篤樹

スキマスイッチのライブの特徴の一つに、CDのアレンジをそのまま演奏するのではなく、ライブならではのアレンジを加えるというものがある。それは彼らの「会場に来てくれた人とだけ、共有できるものがいい」という想いによるものであり、当然この日披露された楽曲たちにも当てはまること。「双星プロローグ」は、曲が進むに連れて次々に変わっていくリズムパターンや曲調が聴き応えたっぷり。また、この日限定で披露された「ラストシーン」では、前半を常田のピアノと大橋の歌だけでシンプルに、優しく。そして後半からはバンドメンバーも参加し、優しさの中にもしなやかな強さと意志を湛えたサウンドで観客を圧倒させた。


彼らにしかできないサウンドメイキングで観客を魅了しつつも、MCになると途端に“近所のお兄さん”的な人懐っこさが表れるのもスキマスイッチの魅力。49年前のこの日(と7月1日、2日)はビートルズが日本武道館でライヴを行った日だと語ると、「50年前じゃなくて49年前っていうのがね、中途半端(笑)。スキマスイッチらしい」と笑わせる。

スキマスイッチ バンド編成で初めて日本武道館のステージに立つ
撮影/岩佐篤樹

スキマスイッチ バンド編成で初めて日本武道館のステージに立つ
撮影/岩佐篤樹

学生時代に柔道をやっていた常田が「武道家としても目指すところ」と、武道トークと共に日本武道館への熱い想いを語ったのに対し、大橋が「良かったな」と一言でまとめる絶妙な二人の掛け合いは、そこが小さなライブハウスであっても日本武道館であっても変わらないのだろう。「49年前のビートルズのライブ1本分くらいは喋ったんじゃない?(笑)」というMCを経て、ライブは後半戦へ。

オリジナルアニメーションが流れる「life×life×life」で再び“音楽の場”を温めると、“まったりと”した歌詞の世界観とは裏腹に、重厚なサウンドを聴かせた「ムーンライトで行こう」、アウトロでの大橋のギターソロが圧巻だった「ゴールデンタイムラバー」、サウンドのみならずレーザーと映像の演出でド派手に彩られた「ゲノム」と、息つく暇もないパフォーマンスの応酬。
さらに「まだまだ行くよ!」という大橋の掛け声を合図に、「ガラナ」「ユリーカ」など彼らの代表ナンバーを披露した。

スキマスイッチ バンド編成で初めて日本武道館のステージに立つ
撮影/岩佐篤樹

本編のラストを飾ったのは最新アルバムに収録されている「星のうつわ」。デビュー以来ずっと「等身大の言葉を使って曲を作ろう」と決めているスキマスイッチの二人が、「今の僕らだからこそ作れるようになった、歌えるようになった曲」と自負する名曲を、観客一人ひとりに手渡すかのように大切に歌い、演奏した。

そして「ありがとうございました。スキマスイッチでした!」との言葉を残し、バンドメンバーと大橋、常田が姿を消したステージ。ふと上を見上げると、満天の星空のような照明が……! 聞けば、「曲が終わっても『星のうつわ』の世界観に浸ってもらいたい」という二人の想いから考えられた演出だったそう。
本物の星の光のように、キラキラと輝き揺らめく小さな光は、アンコールを求める観客の声と共に会場を満たしていた。

スキマスイッチ バンド編成で初めて日本武道館のステージに立つ
撮影/岩佐篤樹

アンコール1曲目は、大橋曰く「過去に演奏したのは一度だけ」、常田も「ほとんどの人がわからないと思います」という曲を「敢えてリアレンジ」した「1017小節のラブソング」。先の天井の照明に加え、こうした選曲にも今回のライブが“SPECIAL”と銘打たれているのがわかる。

続いてスキマスイッチの代表曲「全力少年」、そして最新アルバムでも最後を締めくくっている「SF」を披露し、この日のライブは閉幕……のはすが、鳴り止まない拍手に、ステージに残った大橋と常田だけで演奏されたのは「奏(かなで)」。思わぬハプニングに観客は大喜びで、その歌に聴き入った。

スキマスイッチ バンド編成で初めて日本武道館のステージに立つ
撮影/岩佐篤樹

スキマスイッチ バンド編成で初めて日本武道館のステージに立つ
撮影/岩佐篤樹

この日、スキマスイッチのバンド編成としては初めて日本武道館のステージに立った二人。
途中、何度も何度も感謝の言葉を口にした。そのたびに客席からも「ありがとう!」という声が飛ぶ。他にも、ステージに届いたかはわからないが、筆者近くの客席からはアッパーなナンバーでは「カッコいい!」「最高!!」という声が、聴かせるバラードではすすり泣く声も漏れ聞こえていた。

彼らが生み出す楽曲は決して簡単でわかりやすいものとは言えないが、そこに込められたメッセージは確実にファンの耳に届き、それぞれの中で育っている。制作者にとって、これほど嬉しいことがあるだろうか。それができるのも、二人が作る楽曲たちが“ポップ性”を持っているからこそ。
それはすなわち、大橋と常田が“POPMAN”であるということ。この日の日本武道館公演がその証明であったに違いない。
(取材・文/片貝久美子)


≪セットリスト≫
1. Ah Yeah!!
2. トラベラーズ・ハイ
3. 夏のコスモナウト
4. 双星プロローグ
5. アイスクリーム シンドローム
6. 思い出クロール
7. ラストシーン
8. 僕と傘と日曜日
9. life x life x life
10. 蝶々ノコナ
11. ムーンライトで行こう
12. ゴールデンタイムラバー
13. ゲノム
14. パラボラヴァ
15. ガラナ
16. ユリーカ
17. 星のうつわ
<アンコール>
1. 1017小節のラブソング
2. 全力少年
3. SF
4. 奏(かなで)

≪リリース情報≫
6th Album
『スキマスイッチ』
2014.12.03リリース

【初回生産限定盤】2CD+DVD
AUCL-30028~29 / ¥3,700(税抜)
【通常盤】CD
AUCL-172 / ¥2,950(税抜)

≪ライブ情報≫
【YAMAZAKI MASAYOSHI in Augusta Camp 2015 ~20th Anniversary~】
2015年9月26日(土)横浜 赤レンガパーク 野外特設ステージ
w / 山崎まさよし、杏子、COIL、あらきゆうこ、元ちとせ、長澤知之、秦 基博、さかいゆう、浜端ヨウヘイ、竹原ピストル
http://www.office-augusta.com/ac2015/

≪関連リンク≫
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スキマスイッチ レーベルサイト
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