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「又吉直樹『火花』の受賞はないと思う」書評家・杉江松恋が第153回芥川賞・直木賞受賞作を予想する

本日17時から第153回芥川・直木賞の選考会が行われる。
候補作が発表されてからの間、どれだけ同じことを質問されたかわからない。

『火花』は受賞すると思いますか?」

聞かれるたびに同じことを繰り返してきた。
「火花」の受賞はないと思う。
「又吉直樹『火花』の受賞はないと思う」書評家・杉江松恋が第153回芥川賞・直木賞受賞作を予想する
『火花』又吉直樹/文藝春秋

理由はいくつかある。ここ数回、世間で知名度が高くなった作品に授賞した例がないから、というものもそのひとつだ。
第149回、第150回のいとうせいこう(『想像ラジオ』『鼻に挟み撃ち』)、第150回の岩城けい(『さようなら、オレンジ』)などがそうだ。厭らしい言い方だが、すでに十分売れた作品の書き手にさらなる追い銭を遣るだろうか、という疑問が浮かんでくる。候補者のうち、「火花」の又吉直樹と「MとΣ」の内村薫風のみがいかなる新人賞も受賞していない(内村が覆面作家の別名義でなければ)という「文壇に対する身内感のなさ」もある。

新人ゆえのまだ甘い部分


しかしそういうどうでもいい理由は別にしても、又吉直樹にはくれないのではないか、という気がする。
「火花」を私はおもしろく読んだ。これは売れない漫才コンビのボケ担当である徳永(僕)という男が、先輩芸人で同じく売れない漫才コンビを組んでいる神谷と出会い、その才能に一目惚れして弟子入りするところから始まる物語である。つまり芸人小説だ。
読み進めるうちに、〈僕〉には神谷が他の芸人と一線を画しているように見えているということがわかってくる。他の芸人には観客が重要である。観客、広く言えば世間がどう反応するかが自分の芸人としての運命を決めると思っているからだ。しかし神谷は違う。神谷は純粋に自分がおもしろいと感じることをつきつめているだけなのである。もちろん、そんな芸人が人気を得るほど現実は甘くない。世間と神谷との乖離は次第に大きくなっていく。

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    • 匿名さん 通報

      受賞したじゃんw この書評家あてにならねえな

      1
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