■Life is Beautiful Premium Live
2012.07.11(WED) at ビルボード東京
(※画像10点)

「Birthdayライブへようこそ」

藤井フミヤが、3年ぶり、通算25枚目となるアルバム『Life is Beautiful』の発売日であり、自身の50回目の誕生日となる7月11日に、【Life is Beautiful Premium Live】を開催した。この日の会場となったビルボード東京は、生演奏を聴きながら、食事やお酒を楽しむことのできるスペースとなっており、普段のコンサート会場とは違う少しシックな雰囲気。
集まった観客たちも若干緊張気味に椅子に座ってすぐ目の前にあるステージを見つめている。

そんな中、黒のスーツでキメた藤井が現れる。そして、開口一番冒頭の一言。続いて、「催促するようで悪いんですけど、バースデイソング歌ってもらおうかな?」と言い出し、自ら音頭をとって観客に「ハッピーバースデートゥーユー」を歌わせる。すると、硬かった会場の空気が瞬時にやわらかくなり、観客の表情に自然と笑顔がこぼれる。周りの状況を即座に感じ取り、それに的確な配慮ができる藤井の才能と言うか、これまでの経験の賜物と言うか…。

さらに、その流れのまま自身最大のヒット曲であり、デビュー曲でもある「TRUE LOVE」へ。自らアコースティックギターを弾きながら、温もりのあるその歌声で会場を包んでいく。もうこの時点で観客は藤井が作り出す世界に完全に引き込まれていた。

そして、震災があって、一度それまで作っていたものをリセットして、改めて今、自らの素直な気持ちを詰め込んだという最新アルバム『Life is Beautiful』から、3曲を続けて披露する。ブルースハープを吹きながら、衰えを知らない相変わらずの華麗なステップとダンスを交えて歌った「突然に完全な空前の一目惚れ」。青いタンバリンでリズムを刻み、観客と手拍子で一体となった「なんかいいこと」。
震災があったことで「自分の中で響きすぎる」(藤井)という理由でなかなか歌うことができなくなってしまったが、ようやく歌えるようになったという「今、君に言っておこう」。ロック、ポップ、バラード…さまざまなジャンルを歌いこなす、藤井のシンガーとしての実力を見せ付ける場面でもあったが、正直、それをあまりに軽々とやってのけるので、気にしていないと気付けない(笑)。そのくらい難しいことを自然にやってしまうのが、藤井フミヤという人だ。

後半は、ステージ背後のカーテンが開き、窓から見える美しい東京の夜景と相まってよりその歌の世界観を鮮やかに彩った「Another Orion」、「わらの犬」と続き、再び『Life is Beautiful』の楽曲を。「点線」では、終盤に向かって溢れ出る感情が歌に宿り、聴いていて胸が締め付けられるような想いがした。

そして、ラストはアルバムでもラストを飾った「愚か者の詩」。「こういう歌を歌えるうちが俺も元気なんだな」とおどけた後に、「これからも本当に歌っていくんで、よろしく」との一言。中盤のMCでも「いろいろやってまいりましたが、私、歌一本で行かせてもらいます」と言っていたが、50歳という節目を迎えて、多彩な才能を持ちながらも改めて音楽と向き合っていこうという藤井の想い――その揺ぎ無い気持ちが伝わってきた。

“男なんて所詮そんなものさ”という歌だと言うが、そんな歌をカッコよく魅力的に歌える人は、この人しかいない。もちろん、チェッカーズ時代のキラキラと輝くようなカッコよさも素敵だったが、今の歳を重ねたこそのカッコよさはそう簡単に身に付けられるものではないからこそ、いつまでも目が離せないのだ。

アンコールでは、友人で同い年のとんねるずの木梨憲武が登場。出会った当時の思い出なども語らい、さらには一緒に「白い雲のように」も披露してくれた。
50歳の誕生日にアルバムが出ることになったのは、偶然で奇跡的なことだったと藤井は言っていたが、そんなことを起こしてしまうのが藤井フミヤという人なんだと思う。自らのやりたいことを追求しながらも、最後にはちゃんと周りの人たちが楽しめる状況を作り出す。やっぱりこの人はすごい。そんな想いを新たにする記念すべき、忘れられない一夜だった。
(取材・文/瀧本幸恵)

≪セットリスト≫
1. TRUE LOVE
2. 突然に完全な空前の一目惚れ
3. なんかいいこと
4. 今、君に言っておこう
5. Another Orion
6. わらの犬
7. 点線
8. 愚か者の詩
<アンコール>
1. 白い雲のように
2. Life is Beautiful

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