Dragon Ash ここから先に進むことを感じさせる餞(はなむけ)の歌/ライブレポート

■Dragon Ash Live ~REST IN PEACE IKUZONE~
2012.08.17(FRI) at Zepp Fukuoka
(※画像13点)

Dragon Ashのライヴ【Dragon Ash Live ~REST IN PEACE IKUZONE~】のツアーファイナルが8月17日(金)にZepp Fukuokaで行なわれた。バンドメンバーであるIKUZONE(Ba)の急逝に際して開催されたこのツアーは7月4日のSHIBUYA-AXを皮切りに計5公演が行なわれた。
メンバーの発案で行なわれた本ツアーは、メンバー7人の深い結びつきを表現するかのように6人のメンバーでの演奏とIKUZONEのいつものライヴセットをそのままに、彼がレコーディングで残した音源を使用し、そこにあたかもIKUZONEがいるかのように演奏されるという特別なスタイルのライヴとなった。

Dragon Ash ここから先に進むことを感じさせる餞(はなむけ)の歌/ライブレポート

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開場の18時には、この日のために作られたIKUZONEのシンボルカラー“赤”と“青”のタオル、そして、彼が描いたイラストをモチーフにしたTシャツを着た多くのファンが集まった。会場内には追悼献花式で使用した大きな写真、ベース、そしてファンの書き込みで埋め尽くされたメッセージフラッグが飾られた。

19時にライヴがスタート。この日もこれまでと同じように、IKUZONEとの15年を振り返る約40分に及ぶフィルムが上映された。デビュー前のレコーディング風景から最後のライヴとなった盟友ROTTENGRAFFTYとのライヴ映像まで、IKUZONEと共に歩んだ多くの歴史をできるだけ凝縮したフィルムであった。このフィルムのエンディングとオーバーラップするかのようにあの曲のオープニングが流れ始める、「陽はまたのぼりくりかえす」。Kjの声が聞こえないほどの大合唱に会場が包まれる。バンドにとっても、オーディンエンスにとっても本当に大事な曲でライヴは幕を開けた。1997年にリリースされた1stミニアルバムのタイトル曲「The day dragged on」、そして、同年にリリースされた1stシングル「Rainy day and day」と、このツアーにふさわしい選曲が続く。

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IKUZONEとのラストレコーディングとなった「Walk with Dreams」のイントロが流れる中、ツアーで恒例となった桜井 誠(Dr)がMCを務める。オーディエンスへの感謝と、熟考の末決定したツアーが最高のツアーになった喜びを素直に表現した。
また、「Dragon Ashのライヴなんで、湿っぽくならずに、あの人もここにいるんで、ガッツリ盛り上がってください」と、いつもと変わらないライヴを行なうことを誓った。

「Walk with Dreams」は奇しくも現在のバンドの状況と重なるようなテーマの楽曲。ゆっくりでもいい、前に進むこと、まだ夢は続くことを歌う。「繋がりSUNSET」の大合唱はフェスでもおなじみ、Kjもマイクをはずして、直接オーディエンスに向かって叫ぶ。ここから一転、ラウドなナンバー「Ivory」、<福岡の夜を でたらめで良い 踊り騒げよ~>の歌詞にでたらめに盛り上がる。続く「Let yourself go, Let myself go」、この曲もイントロだけで大歓声が起こる。ダンサーのATSUSHI、DRY-Vが左右に振る手に合わせて会場が揺れた。

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ライブ中盤では「Fire Song」「Sunset Beach」と新旧のミドルチューンでクールダウンしてからの「AMBITIOUS」、「屋根ぶち壊すくらい飛び跳ねろ~」のMCで静から動へ、いきなりマックスのテンションで<アンビシャス アンビシャス>の大合唱が起こる。スクリーンに映し出された、ミュージック・ビデオから抜き出したIKUZONEの演奏と6人のメンバーとが完全にシンクロして、本当に彼がこの場で演奏しているような錯覚すら起こす。

Dragon Ash ここから先に進むことを感じさせる餞(はなむけ)の歌/ライブレポート

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そして、ここから後半戦。Kjがハンドマイクに持ち替えて、これぞDragon AshのHip Hopミクスチャー「Amploud」、楽器から開放されて自由になったKjがステージを走り回りダイブするオーディエンスとこぶしを合わせる。ここでもIKUZONEの映像に合わせてオーディエンスが手を振る。


「Canvas」のメンバーのエモーションがあふれる感動の演奏から、この日もファンとバンドにとっての特別な場所“ライヴ”を歌った「百合の咲く場所で」。<終わりある人生>のフレーズにはいつもより力を込めるKj。このツアーではMCを全く行なわなかったが、歌詞に込める感情表現はいつもよりずっとストレートな気がする。この曲でIKUZONEはギターのHIROKIに寄り添うように演奏していたが、彼がいない今日、HIROKIはまっすぐファンを見て演奏している。

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「Fantasista」の盛り上がりはもはや異常としか言いようのないテンション、「ウォー、ウォー、ウォー」の大合唱と、今や定番の「飛び跳ねろ~」でマックスに。「静かな日々の階段を」では、ドレッドヘア、ポニーテール…常に見るものを驚かせ、ライブハウスやフェスなどいつも100%のショーマンシップで現場に臨む、彼の様々な映像がスクリーンに映し出された。ラストはやはりこの曲、バンドにとってあまりにも特別な「Viva la revolution」。<Viva la revolution>の大合唱では桜井、BOTS、HIROKI、ATSUSHI、DRI-V、そしてKjの6人全員で最後まで叫び続けた。

この日は最終日ということもあって、アンコールでは、メンバー6人がIKUZONEに捧げる「Something in view」をアコースティックバージョンで演奏した。IKUZONEの生前最後にレコーディングしたのもこの曲。IKUZONEのいない6人での演奏は、ここから先に進むことを感じるさせる餞(はなむけ)の曲となり、ツアーは幕を閉じた。

Dragon Ash ここから先に進むことを感じさせる餞(はなむけ)の歌/ライブレポート

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≪セットリスト≫
1. 陽はまたのぼりくりかえす
2. The day dragged on
3. Rainy day and day
4. Drugs Can't Kill Teens
5. Walk with dreams
6. 繋がりSUNSET
7. Ivory
8. Let yourself go,Let myself go
9. Fire Song
10. Sunset Beach
11. AMBITIOUS
12. Run to the sun
13. Amploud
14. Canvas
15. 百合の咲く場所で
16. Fantasista
17. 静かな日々の階段を
18. Viva la revolution
<アンコール>
1. Something in view

≪関連リンク≫
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