■Golden Circle Vol.16 “ジュンスカ×ユニコーン”
2011.10.25(TUE) at 日本武道館
(※画像12点)

16回目を迎えた寺岡呼人の主催イベント【Golden Circle】。今回は初の対バン形式で、サブタイトルの“ジュンスカ×ユニコーン”が表すように、共に90年代バンドブームを牽引し、一度は解散しながらも再結成を遂げた2組の盟友による豪華競演が実現!! さらに、【Golden Circle】の理念でもある“縦の軸”を繋ぐため、ゲストに彼らがリスペクトする子供ばんどと、オープニング・アクトにOverTheDogs(25日のみ出演)、OKAMOTO’S(26日のみ出演)の2組の若手バンドを招き、日本武道館を舞台に2日間に渡ってここでしか見られないプレミアムなステージを繰り広げた。


初日、1曲目から超豪華な共演を披露する。なんと、この日のために寺岡が書き下ろしたという新曲「ROCK’N ROLL TRAIN」を、4バンドの出演者が入り乱れて演奏。ドラムが3台ステージに並び、ギターも何本あるのやら(笑)。ボーカルも宮田和弥、奥田民生、阿部義晴らが次々とマイクを取り、そんな中で、森純太がギターソロを見せる場面も。ここから始まる2日間への期待感を十分過ぎるほどあおる、最高の幕開けを飾った。

ちょっとした嵐のような(笑)演奏の後には、寺岡が今年の【SUMMER SONIC】の出演オーディションで観て、素晴らしいバンドが出てきたと感じたというOverTheDogsが登場。実は彼ら、この翌日にデビュー・アルバム『トケメグル』が発売されるということで、デビュー前に武道館の舞台を踏むという快挙を達成。ギター&ボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムという5人編成で、ハイトーンボイスのボーカルに、ポップでどこかメランコリックな印象を受けるロックを響かせる。アルバムにも収録されている「本当の未来は」を含む3曲を披露し、新しい風を感じさせるフレッシュなステージを見せてくれた。

そして、ついに寺岡がメンバーの一員であるJUN SKY WALKER(S)が武道館のステージへ。1曲目「歩いていこう」から、この時を待ちわびていた観客の熱気が伝わってくる。サビでは“ウォーウォーウォー”と叫びながらこぶしを上げ、2曲目「青春」でも、“シャララ”の大合唱。
MCでは、宮田が「最近、目が悪くなって近くのものが見えないけど、遠くは見えてます! 老体にムチ打って頑張ります!」なんておどけていたけど、あの頃と変わらない、いや、円熟味を増してさらにパワーアップしたステージを見せつける。また、5曲目「すてきな夜空」では、民生、阿部と共演。その前の宮田のMCが長かったため、出番まで待たされた民生は「長いよ!」と愚痴っていたが(笑)、それも気心知れた間柄ゆえ。演奏が始まると一緒にできることが楽しくてたまらいという様子が、ひしひしと伝わってくる。さらに、その後のMCで、宮田から重大発表。2012年にバンドを完全復活させるにあたり、1月に新録によるベスト盤をリリースし、2月にはツアーを、そして、4月には完全オリジナルのニュー・アルバムを発売すると言い、新曲「シンフォニー」を披露。彼らより少し早めに復活を遂げていたユニコーンが、再始動の際にニュー・アルバムを携えていたことが、彼らを新作の制作へと向かわせたという。単に対バンする相手ではなく、年月を経ても、互いに切磋琢磨し合える同士であることが、18年目にして今日のこの日を迎えられた所以だろう。続いて、デビュー・アルバムの収録曲「全部このままで」を当時の映像を交えつつ披露し、最後は「MY GENERATION」で締め、ジュンスカ復活への期待が益々高まる感動的なステージとなった。

一方、復活後、2枚目となるアルバム『Z』を5月に、ミニ・アルバム『Z2』を8月にリリースし、2度目の全国ツアーを終えたばかりのユニコーンは、もはや熟練の技と言おうか、緩急をつけた絶妙なステージングで観客を沸かす。「頼みたいぜ」、「WAO!」と乗れる曲でスタートし会場を温めると、EBI、川西のリズム隊によるラップがある「さらばビッチ」で新境地も見せつつ、「オレンジジュース」ではこれぞ貫禄の熱いロック魂を爆発させる。さっきまでステージの上で遊んでいるようにも見えたオジサンたちが(笑)、一転して見せる大人の色気を感じさせる演奏に釘付けになる。
と思えば、続くJUN SKY WALKER(S)を招いての「SAMURAI5」では、旗を振りながら延々くだらないやり取りを繰り返して大はしゃぎ。会場を笑いの渦に巻き込むと、その流れでヒット曲「ヒゲとボイン」で大合唱し、最後は「晴天ナリ」で大団円という鉄板的流れ。自身のツアーだろうが、イベントだろうが、一貫した音楽を楽しむというユニコーン魂を感じさせてもらった。

4組目、ラストは子供ばんど。後輩たちが温めたステージで存分に暴れまくる。全員赤の衣装で統一し、民生がプロデュースした新曲「マンモスの唄」や、ジュンスカのリクエストに答えたという「踊ろうじゃないか」など4曲を披露。うじきつよしは、ジュンスカ、ユニコーンを子供、OverTheDogsを孫と言い、「おじいちゃんは幸せだ~」と叫び、後輩達との共演を心から楽しんでいるようだった。

「押しに押してます」(寺岡)で迎えたアンコールでは、全出演者が再びステージに。電飾がついたフライングVを持ったうじきをセンターに迎え「サマータイムブルース」を、オーケストラか!と突っ込みたくなるくらいの大人数で合奏。3台のドラムに、数えたところ15本のギター&ベースが全員ステージ前方へせり出し、これでもかと楽しそうに演奏している。誰の音が聞こえてるのかは判別不能だったが(笑)、とにかく、ステージも観客も一体となって音楽を楽しんでいることだけははっきりと伝わってきた。どのアーティスト目当てで参加しても、全部のアーティストが楽しめる、イベントをやる意味がきちんと実感できる最高のイベントだった。

(取材・文/瀧本幸恵)

≪セットリスト≫
1. ROCK’N ROLL TRAIN(出演者全員)
●OverTheDogs
1. イッツ・ア・スモールワールド
2. 神様になれますように
3. 本当の未来は
●JUN SKY WALKER(S)
1. 歩いていこう
2. 青春
3. START
4. 休みの日
5. すてきな夜空(with 阿部/民夫)
6. シンフォニー(新曲)
7. 全部このままで
8. MY GENERATION
●ユニコーン
1. 頼みたいぜ
2. WAO!
3. さらばビッチ
4. オレンジジュース
5. SAMURAI 5 (with ジュンスカ)
6. ヒゲとボイン
7. 晴天ナリ
●子供ばんど
1. I'M SO HAPPY
2. 時は流れて
3. マンモスの唄
4. 踊ろじゃないか
<アンコール>
1. サマータイムブルース(出演者全員)

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