パリを掃除する日本人がいる。グリーンバード・パリ支部のメンバーだ。
日本でパリは「オシャレ」「華やか」といったイメージが先行するが、実際に歩いてみると結構汚い。道の至るところにゴミ箱が設置されているが、空き瓶や空き缶が転がる。罰金を科されるにもかかわらず、ポイ捨てされた吸い殻が目につく。早朝、市の清掃職員による道の掃除は行われるが、昼になれば、すぐに元の汚いパリに戻ってしまう。
このような現状で、自発的に街を掃除しようとするグリーンバードの行動は、時にパリっ子たちの目に奇異に映る。フランス人は彼らの行動をどう捉えているのか? 同パリ支部をまとめるリーダー・稲井佳子さんは言う。
「掃除をしていると『何の意味があるの?』『どうせ、またすぐに汚れるよ』と皮肉気味にフランス人から声をかけられる時もあります。しかし99%は好意的です。なかには『清掃員の仕事を奪うのでは?』『税金を払っているのだから街の清掃は自分がするべき仕事ではない』という意見もあるでしょう。ですが実際、清掃員の数は街の汚さに対して足りておらず、仕事を奪うほどのことではありません。そもそもこの活動の目的は清掃そのものではなく、清掃を通してポイ捨てや、環境への意識を高めることが目標です」
今までは参加メンバーのほとんどは日本人だった。
建築家をしているという仏人男性は、グリーンバードの活動を取り上げた現地紙を読み、参加を決めた一人だ。
「とても良い活動です。これを機会にフランス人も、もっとゴミについて気にかけるようになればいいですね」
自動車関連企業のロジスティック部門で働くという仏人男性は、SNSで流れてきた記事を読み、グリーンバードの活動を知った。
「学生の頃、札幌に1年間留学しました。街がとてもきれいだったことを覚えています。フランス人の中には、道路清掃は自分の仕事じゃないと理屈を言う人もいる。しかし良い活動に変わりはないと思います」
中国からパリに留学中の男性は、今回が初めての参加だ。
「フランスの新聞で活動を知り、グリーンバードのサイトを見て参加を決めました。中国の都市は汚いですし公害も大変です。将来、中国も日本のようにクリーンな街になってほしいです」
グリーンバードの活動は強制的なものではない。
「自由参加のため、参加者数はかなり天気に左右されます。もちろん雨が本降りの時は中止しますが、直前まで雨が降っていたり、小雨が降ったり止んだりしている日だと、参加者は一気に減ってしまいますね……」
集めたゴミは一箇所に集め、パリ市の回収車に委ねる。その後は近くのカフェでメンバー同士1時間ほどお喋りをして解散する。カフェでのお喋りは、パリ支部独自のスタイルだそうだ。
現地メディアに取り上げられ参加者数を拡大するパリ支部だが、今後、活動を拡大する予定はないのだろうか。
「参加者が増えることに問題はありません。しかし月の回数を増やしたりパリ以外の場所で行うことは、平日に仕事があるなかで調整しているため、資金面でも管理面でも規模を広げられません。
ボランティアという難しさを抱えつつも、ポイ捨てへの意識を変え、自分たちが暮らす街がきれいになればと掃除を続けるパリ支部。その活動はフランス人の賛同者を増やしつつ、確実に広がっている。
(加藤亨延)
「グリーンバード」とは原宿表参道から始まった「街のそうじ」プロジェクトのこと。パリ在住の日本人で、そのコンセプトに共感した人たちが始めた活動が、グリーンバード・パリ支部である。
実は結構汚いパリ
日本でパリは「オシャレ」「華やか」といったイメージが先行するが、実際に歩いてみると結構汚い。道の至るところにゴミ箱が設置されているが、空き瓶や空き缶が転がる。罰金を科されるにもかかわらず、ポイ捨てされた吸い殻が目につく。早朝、市の清掃職員による道の掃除は行われるが、昼になれば、すぐに元の汚いパリに戻ってしまう。
このような現状で、自発的に街を掃除しようとするグリーンバードの行動は、時にパリっ子たちの目に奇異に映る。フランス人は彼らの行動をどう捉えているのか? 同パリ支部をまとめるリーダー・稲井佳子さんは言う。
「掃除をしていると『何の意味があるの?』『どうせ、またすぐに汚れるよ』と皮肉気味にフランス人から声をかけられる時もあります。しかし99%は好意的です。なかには『清掃員の仕事を奪うのでは?』『税金を払っているのだから街の清掃は自分がするべき仕事ではない』という意見もあるでしょう。ですが実際、清掃員の数は街の汚さに対して足りておらず、仕事を奪うほどのことではありません。そもそもこの活動の目的は清掃そのものではなく、清掃を通してポイ捨てや、環境への意識を高めることが目標です」
現地メディアに紹介されフランス人参加者増
今までは参加メンバーのほとんどは日本人だった。
しかし『ル・パリジャン』『M6』など現地メディアで紹介されてから、一気にフランス人の参加者が増えた。全体の参加者数も、いつもは10人を超えるくらいだったそうだが、9月は30人以上が集まり、日仏の割合が逆転した。
建築家をしているという仏人男性は、グリーンバードの活動を取り上げた現地紙を読み、参加を決めた一人だ。
「とても良い活動です。これを機会にフランス人も、もっとゴミについて気にかけるようになればいいですね」
自動車関連企業のロジスティック部門で働くという仏人男性は、SNSで流れてきた記事を読み、グリーンバードの活動を知った。
「学生の頃、札幌に1年間留学しました。街がとてもきれいだったことを覚えています。フランス人の中には、道路清掃は自分の仕事じゃないと理屈を言う人もいる。しかし良い活動に変わりはないと思います」
中国からパリに留学中の男性は、今回が初めての参加だ。
「フランスの新聞で活動を知り、グリーンバードのサイトを見て参加を決めました。中国の都市は汚いですし公害も大変です。将来、中国も日本のようにクリーンな街になってほしいです」
グリーンバードの活動は強制的なものではない。
パリ支部の場合は1カ月に1回、清掃場所と日時が告知される。そして各々、もし予定が合うようだったら活動に加わるという参加形態を取っている。時間は1時間。掃除道具もすべて現地にてグリーンバードより支給され、事前準備なく気軽に参加できる仕組みだ。リーダーの稲井さんは言う。
「自由参加のため、参加者数はかなり天気に左右されます。もちろん雨が本降りの時は中止しますが、直前まで雨が降っていたり、小雨が降ったり止んだりしている日だと、参加者は一気に減ってしまいますね……」
集めたゴミは一箇所に集め、パリ市の回収車に委ねる。その後は近くのカフェでメンバー同士1時間ほどお喋りをして解散する。カフェでのお喋りは、パリ支部独自のスタイルだそうだ。
現地メディアに取り上げられ参加者数を拡大するパリ支部だが、今後、活動を拡大する予定はないのだろうか。
「参加者が増えることに問題はありません。しかし月の回数を増やしたりパリ以外の場所で行うことは、平日に仕事があるなかで調整しているため、資金面でも管理面でも規模を広げられません。
本当はできれば良いのですが」
ボランティアという難しさを抱えつつも、ポイ捨てへの意識を変え、自分たちが暮らす街がきれいになればと掃除を続けるパリ支部。その活動はフランス人の賛同者を増やしつつ、確実に広がっている。
(加藤亨延)
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