面白かったよ『偽装の夫婦』!
いよいよスタートした、遊川和彦脚本、天海祐希主演の新ドラマ『偽装の夫婦』(日本テレビ系・水曜22:00〜)。

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先日の記事でも延々書いたように、脚本の遊川氏は『家政婦のミタ』でドーンとヒットを飛ばした後、『純と愛』『○○妻』で、予想のつかなすぎる超展開と、唐突&理不尽な不幸エンドで、視聴者をモヤモヤっとさせたまま最終回を迎えてしまう、まあ賛否両論渦巻くドラマを連発しているため、今回はどうなることやら……と心配していたのだが、とりあえず1話目を見て見ての感想は……いやぁ〜、まんまと遊川和彦の術中にハマッてしまったかもしれない。
『偽装の夫婦』、今度こそ期待していいんですよね!?
天海祐希の嘘笑いと沢村一樹のゲイ笑い
幼い頃に両親と死に別れて愛を知らないまま育ち、大学時代に唯一愛した彼氏にも突然逃げられて、完全に人間嫌いとなった図書館司書・嘉門ヒロ(天海祐希)。その元カレ・陽村超治(沢村一樹)と25年振りに再開したと思ったら、そいつはゲイになっていて、病気で死にそうな親を喜ばせるために偽装結婚して欲しいと頼まれる。
あらすじだけ読むと、ゲイになった元カレと、人間嫌いの主人公が偽装結婚したことによって巻き起こるドタバタコメディ……みたいな展開が予想出来るが、そこは遊川氏の脚本。一筋縄ではいかなそうだ。
まず、天海祐希演じる人間嫌いな主人公の闇がすんごく深そう!
近年の遊川作品には、訳ありな過去を持った「笑わない」キャラクターがよく登場してきたが、『偽装の夫婦』の主人公・嘉門ヒロはメッチャ笑う! ……というか、常時作り笑いを浮かべているけど、心の中で子どもから老人まで全方位に毒を吐きまくっている。この、往年の竹中直人ばりに笑いながら怒る姿にすさまじい闇を感じてしまうのだ。
元カレに突然逃げられたこと以外にも色々あって、現在のハードコアな人間嫌いっぷりが完成したようなのだが、その辺の事情はこれから明らかになっていくのだろう。
そして、沢村一樹のゲイ役がハマりすぎ!
以前から沢村一樹の必要以上にサワヤカな笑顔には何かモヤッとするものを感じていたのだが、ゲイ役としてはしゃぎまくる姿に、あのモヤッと笑顔がすさまじくマッチしているのだ。
まあ、あそこまでステレオタイプなオネエキャラにする必要があるのか? という感じもしたが、「ゲイが親を喜ばせるために偽装結婚を考える」というテーマは、普通にやったら重い話になり過ぎてしまいそうなので、明るくテンションの高い沢村のオネエキャラが必要だったのかもしれない。
内田有紀はDV被害者でレズビアン役!?
そして、今後「偽装夫婦」となっていくと思われる天海と沢村とを取り巻く、周囲の人たちも濃いキャラばっかり!
『家政婦のミタ』『女王の教室』(などでは、極端すぎる行動をとるひとりの変人に周囲の人たちが振り回される……というパターンだったが、今回は出てくる人たちがみーんな変人なのだ!
ミムラ緑子演じる、怖すぎる叔母さん。
その息子の、ひきこもりで売れないマジシャンの佐藤二朗。
天海祐希にやたらと言い寄ってくる田中要次演じる図書館の館長。
そして、元夫からのDVで片足が不自由になっている、訳あり感全開な内田有紀演じるシングルマザー。……わーっ、内田有紀にDV被害者役をやらせるかー(多くは語りません)。
とりあえず顔見せという感じで、それぞれのキャラクターがどう活かされていくのかはまだ分からなかったが、「変人×普通の人たち」を得意パターンとしてきた遊川氏が、「変人×変人」でどんな物語をつづっていくのか期待したいところ。
1話目の終盤では、沢村一樹が宅配便のサワヤカ好青年に一目惚れし、さらに内田有紀も天海祐希に告白と事態は急展開! 沢村一樹がゲイなだけじゃなくて、内田有紀もレズビアンなの!?
うーん、これからの展開が気になってしょうがない! とりあえず毎週録画リストには入れておこう。
でもやっぱり心配……!?
そんな楽しそうな雰囲気ではじまっても、いきなり人が死んだり、設定をぶん投げちゃったりと、良くも悪くもなかなか安心させてくれないのが遊川脚本。
「面白そうだけど、やっぱ心配!」と思わされたのが、天海祐希が『100万回生きた猫』を朗読し、なぜ猫が泣いたのか? に言及したシーン。
「100万回生きた猫にとって、白い猫ははじめてできた家族だったの。大切な大切な家族だったの。だからそれを失った時、さびしくて猫はないたの」
これは伏線か……!?
ゲイの元カレと偽装結婚生活を通じて絆を深めていき「恋愛感情がなくても、心の絆があれば家族になれるよねー!」という感じで、孤独に生きてきたヒロもやっと家族を手に入れた……と思ったら、突然・元カレ死亡エンド。
こんな展開だけは勘弁してください!
(北村ヂン)