
19話は、こんな話
蔵がスカスカ、お金の代わりという証文がひらひらな紙であることが気になってならないあさ(波瑠)は、独自で調べを続ける。ついに正吉(近藤正臣)はつきあいの浅い一件(宇奈山藩)だけ関わることを許す。
第4週は、あさはお願い上手
「うちの嫁さんはさんまやかつおと同じやさかい。
泳ぎつづけてな死んでしまう」
新次郎(玉木宏)は、やたらと活動的なあさのことをこう表す。
あさは「盗み読みばっかりしていたんで読むのは早いんです」と新次郎に自分のことを明かす。
いやいや、あさちゃん。あなたの得意なことは速読(?)だけではない。もっと得意なのはお願いだ。
19話ではまず、新次郎の好きな本について自分も興味あると言い、読ませてほしいとお願い(ただし、商売に関するもの)。
新次郎が気を良くしたところで、「もひとつお願いが」とついでに頼む。
すると、ついで感で気軽に引き受けてしまう新次郎。
だが、お金を返してもらいにいきたいという願いはさすがに駄目と言われてしまうが、あさは粘る。
「最後のお願い」と相撲をとってくれと迫るのだ。
こうして新次郎は仕方なく、正吉に話をつなぐことになる。
まず相手の気持ちをほぐして、もうひとつのお願いを許してもらうハードルを下げる。
駄目と言われたら、もっと無理なお願いをして、それよりはこっちの願いを聞くという逃げ道を用意するとは、うまい。見倣いたい。
旦那さまのことがすこ〜しだけわかるようになってきた、と言うあさなので、新次郎の操縦方法を学んだということかもしれないが、あさのこの駆け引きのうまさには、商売人の才覚を感じさせる。
はつと惣兵衛は能面夫婦に
はつ(宮崎あおい/崎の大は立)は姑(萬田久子)に蔵に閉じ込められた挙げ句、あさ宛に元気だという嘘の手紙を書かされて、すっかり心を閉ざしてしまう。
食事をとらないという抗議行動に出たはつは、「ご心配のう。なあんも食べんかて偽の文書くことくらいどないいうことあらしまへんよって」と心配する惣兵衛(柄本佑)にさらっと嫌味を言う。
はつもおとなしいようで、言う時は言うしやる時はやる気丈さをもっているようだ。
この場面の最初、はつのカットの前にすっかりおなじみの能面が映り、最後にはつは、もう笑えなくなってしまったとうなだれる。
惣兵衛と夫婦になって、はつまで能面のようになってしまったか。
相手をうまく操縦しあっているあさと新次郎夫婦に対して、感情を素直に出し合えない仮面夫婦ならぬ能面夫婦のはつと惣兵衛はこれからどうなっていくのだろう。
(木俣冬)
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