朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第13週「1964-1965」
第60回〈1月26日(水)放送 作:藤本有紀、演出:安達もじり〉

※本文にネタバレを含みます
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るいとジョー、京都へ
失意のジョー(オダギリジョー)をるい(深津絵里)が「あなたとふたりで日なたの道を歩いていきたい」と抱き締め、ふたりは京都で新生活を送ることになった。【レビュー一覧】朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜60回掲載中)
お別れを惜しみながら和子(濱田マリ)がるいに手渡したのは、あの駄作と言われた黍之丞の映画のポスター。「ん?」とるいが思うと、その裏にはジョーのサインがあって、いつかトランペッターとしてジョーが復活する願いがこもっていた。
一方、ジャズ喫茶「Night and Day」では木暮(近藤芳正)が預かったトランペットをジョーに返す。これもまた復活の願いである。竹村夫妻と木暮、孤独なるいとジョーの親代わりのようだった。本当にいい人達。
そして、京都。まずはさっそくベリー(市川実日子)を訪ねる。鴨川、五山のひとつの大文字と京都のアイコンが映ったあと、抹茶。ベリーこと野田一子は茶道家の娘だった。着物を着てお茶を点てる姿は大阪の彼女とは別人のようだ。
京都ではベリーと呼ばないでと言う一子はおそらく大学時代だけ別の自分になってハメを外したかったのであろう。妙に気合の入ったおしゃれは本来の自分と違うので無理していた感じなのだろう。やたら青春の終わりを惜しんでいるふうだったのも、大学時代だけ、その後は家を継ぐのだと覚悟をしていたからなのだろう。その潔さがカッコいい。
ジョーに関しても、実のところさほど執着はなかったのかもしれない。推しに夢中になってみたい、そんな感覚だったのかも。
るい、覚醒「おいしゅうなれ、おいしゅうなれ、おいしゅうなれ」
大阪と違ってシックな京都の町並みを歩いていたるいとジョーは天神様のお祭りに出くわす。そこでるいは回転焼きの屋台を見て、これで生計を立てることを思いつく。るいとジョーの経済状態は、切り詰めれば3ヶ月はなんとかなるくらい。岡山に来たときもそんな感じでなんとかなったとけろっとしているるいにベリーは「あんた、意外とギャンブラーやな」と感心していた。たしかにいきなり回転焼きをはじめようとするところは肝が座っている。
鴨川を眺めながら、今後の話をするるいとジョーは第二の人生を求める中年夫婦みたいだった。とくにジョー。これはこれで味わいがあるのだが……。これは若い新婚の物語なんだよねと慌てて脳内補正した。
安子(上白石萌音)が小豆を炊きながら唱えていた呪文「小豆の声を聞け〜おいしゅうなれ、おいしゅうなれ〜」をるいはちゃんと覚えていた。一語一句間違えずに唱えながら小豆を炊く。「は!」と火から鍋をおろすタイミングも完璧(このへん、るいの運動神経の良さが活かされていそう。ジョーが火を消す姿が微笑ましかった)。