朝ドラ朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)11月10日(火)放送。第7週「だんな様の秘密」第38話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
姑はマリー・アントワネット「あさが来た」38話
NHKドラマガイド「連続テレビ小説 あさが来た」Part1 NHK出版

38話は、こんな話


惣兵衛(柄本佑)がいなくなってから2年が経っていた。ある日、あさ(波瑠)の姑・よの(風吹ジュン)が、はつ(宮崎あおい/さきの大は立)の家を訊ねてきて、我が家に来ないかと言いだすが、はつは断る。
その頃九州では、ひとり炭坑のなかに入ってみたあさが、親分・次郎作(山崎銀之丞)に殴られてしまう。

人柄が裏目に出る


「あかん 若奥さんの陽気な人柄が裏目に出てるがな」
亀助(三宅弘城)が焦る。
あさが炭坑夫たちを前に明るく語ると、みんながばかにして前途多難。
よかれ、と思ったことが裏目に出る例が、38話では、あさのエピソードのほか、もう1ケース描かれた。
はつを訊ねてきたよのの発言だ。
藍之助の名前を何度も新之助と呼び間違い(新次郎の子供だったらいいなあという願望の現れなのだろうか)、家を見て「ヒトの住むところやあらしまへん」と素直過ぎる発言をするなど失礼の数々は、いくらなんでも非常識じゃないか。
いいオトナなんだし、育ちも良いのだろうし、なんでどす? と問いただしたくなる。
「いけずなところのない、優しいかわいらしいお姑さん」とおつきの女中かの(楠見薫)に強調されればされるほど、よののすっとぼけぷりに苛々が募るばかり。
とはいえ、「パンがなければケーキ(お菓子)を食べればいい」と暢気に言ったとされるマリー・アントワネットのパターンで、自分が知らない世界のことには、悲しいかな想像力が働かないものなのだ。

あさも同じで、炭坑で働く人たちの状況をわかっていない。これからそれを痛いほど知ってどうなっていくのか。

今日の気になる


惣兵衛がいなくなってから2年も経っているということは、家が没落してから2年以上。
にもかかわらず、菊(萬田久子)は貧しい暮らしに順応している様子がなく、ひとりダラダラしている。寝転がるポーズが退廃の極み。
はつのたくましい様変わりっぷりは奇特であって、2年という歳月はひとを必ずしも変えるわけではないのだなあと思わせるのが、菊だ。
うざいよのをネズミの声マネで追い返す発想は良かったが、それも意地悪キャラがいい方向に発揮されただけ。
ところで、その菊。爪がネイルしているようにピカピカだった。ミス・ユニバース日本代表の経歴をもつだけに、元の爪がキレイなのかもしれないが、あまりにお手入れが行き届いていて、それを働かない没落貴族的キャラの現れとはいくらなんでも考えづらい。そうはいっても、やっぱりマリー・アントワネットのように、どんなに堕ちても誇りは捨てないものなのか。
(木俣冬)

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