
■chay/New Single『好きで好きで好きすぎて』インタビュー(1/3)
歌謡曲とJ-POPを繋げられる存在になれたらいいなと思う
『テラスハウス』で注目を集めてから早2年。人気女性ファッション誌「CanCam」の専属モデルとして輝く一方で、本業の音楽でもフジテレビの月9ドラマ『デート~恋とはどんなものかしら~』主題歌として書き下ろした「あなたに恋をしてみました」を大ヒットさせるなど、シンデレラストーリーを地で行くchay。8か月ぶりのシングル「好きで好きで好きすぎて」は、前作の主人公の後日談を綴ったものだという。本作も、多保孝一のプロデュースのもと築き上げられた贅沢な生音に彩られた華やかなサウンドに乗せ、揺れる乙女心をチャーミングに歌いあげる。見た目の愛らしさからは想像できないほど音楽へのマニアックな愛情が溢れ出す熱のこもった受け答えをしてくれた彼女は、自らのコンプレックスまでも告白。アーティスト・chayの新たな魅力が詰まったインタビューとなった。
(取材・文/橘川有子)
初旅行の前日は女の子ってものすごくいろんなことを考えるんです(笑)
――「好きで好きで好きすぎて」はインパクトのあるタイトルですね?
chay:メロディをいただいてから歌詞を書いたのですが、サビのメロディラインや譜割にも合っていて、できるだけ印象に残る言葉がないかを考えました。いくつか候補が出たのですが、これがいちばんしっくりきましたね。もともと、サビ頭の言葉を曲名にしたいと思っていたんです。最初に耳にしてもらえる機会があるのはきっとサビが多いと思いましたし、サビを聞いた途端に耳に残るくらいにわかりやすく、なおかつインパクトもある言葉。と同時に、聞いた時に自然とタイトルも覚えてもらえるので一石二鳥かなぁと。
――なかなかの戦略家ですね(笑)。
chay:好きで好きで好きすぎてと聞くと、そのあとはどうなるんだろうと気になってもらえたり、どんだけ好きなの?と突っ込んでもらえたらいいなとも思いました。
――前作「あなたに恋してみました」が大ヒットした後のシングルですし、プレッシャーもあったのでは?
chay:はい、ありましたね。前作は私の中では最もたくさんの方に届いたという実感もありましたし、その次の曲はどんなものになるのか期待や関心も高まるのかなと思ったので、今までにはない重圧を感じました。前作を作らせていただいた時は、月9ドラマ主題歌という大きなタイアップで、それもすごいプレッシャーでしたが、それともまた違う、次も喜んでもらう曲を作るにはどうしたらいいのだろうという、新しくて少し不思議な感覚でしたね。
――その重圧からどうやって抜け出しましたか?
chay:プレッシャーの中で精一杯作った「あなたに~」は、これまで私を応援してくださった方はもちろん、聞いてくださる方の幅がすごく広がったと感じた曲でした。それ以前のライブでは、同世代の女性が圧倒的に多かったのですが、この曲を出した後のライブなどには、父や母世代やお子さん連れの方も足を運んでいただけるようになりました。それは私にとって新鮮な喜びでした。それで今回も世代を問わない、老若男女皆さんに楽しんで、愛していただける楽曲を作ればいいと思ったんです。それで多保(孝一)さんと話し合いながら、さらに今回は歌謡曲のテイストを推し進めたものにしていこうということになりました。

――歌詞はいしわたり淳治さんとの共作ですが、どうやって書き進めるのですか?
chay:こうやってインタビューでも、つい思いが溢れて力説しちゃうことが多いのですが(笑)、いしわたりさんにも「こんな思いを描きたいんです」と力説しました(笑)。書きたいことを箇条書きにして見ていただいたのですが、この曲は「あなたに~」で恋の魔法にかけられた主人公の女の子が、その恋が実って、とうとう彼と一緒に初めての旅行に出かけることになったという設定にしたかったんです。カップルになった時にワクワク、ドキドキする時間はなんだろうと考えた時に、初旅行の前日は女の子ってものすごくいろんなことを考えるなと(笑)。それに、初めての旅行前夜にクローズアップした歌詞はあまりないと思ったので、挑戦し甲斐もあるし、ぜひ書いてみたいと思いました。
――私は個人的にすごく「あるある!」と思いながら聞きましたよ。
chay:女性なら共感してもらえるんじゃなかなと思って書いたので嬉しいです。 でもミーティングではいしわたりさんをはじめ、スタッフさんも男性ばかりだったので、ハテナの連続だったんです(笑)。そこまで考える必要あるの?と言われたりもして。でも、ここまで理解できないテーマもかえって面白いなと思ったので、半ば強引に(笑)このテーマで書きますと言いました。
――男女ってそんなに違いがあるんですね?!
chay:そうみたいですね。いしわたりさんも当初は不思議がってましたが(笑)こんなワードを入れたらもっと面白くなるんじゃない?と提案もいただき、何度もやり取りを繰り返しました。
――すごく時間をかけて書いたんですね?
chay:はい、今回は時間がとてもかかりました。だからその分愛おしく大切な曲ですね。
――そんな愛おしさいっぱいの曲の主人公はどんなタイプの女性ですか?
chayまさに私みたいな女の子ですね(笑)。「あなたに恋してみました」の歌詞も、好きな人のために頑張りすぎて空振りして失敗する感じでしたが、私はそんな感じなんです。その時に箇条書きした山のようにあった失敗談のうち、歌詞に入れられたのは1、2個くらいでした(笑)。今回は友人やスタッフさんのエピソードも参考にして書いたのですが、箇条書きが止まりませんでした。すごく個人的なことかもしれませんが、好きになったら気が気じゃなくてなにも手につかなくなったり、小さなことを気にしちゃう女の子って、きっとたくさんいると思うんですよね。
――モデルもして、歌もギターも上手で人気者。コンプレックスはなさそうに見えますが?
chay:(力説して)全然そんなことないんです! コンプレックスのかたまりですよ。人からは、よくあっけらかんとしてるとか、すごくポジティブそうに見えると言われるのですが、逆ですね(笑)。すぐに小さなことで悩むし、こと恋愛になると全然自信がないので歌にもそれが出ると思います。最終的にたとえハッピーだとしても、どこかには自分のネガティヴ要素は入っていると思います(笑)。

レコーディングは毎回へとへとになりますね(笑)
――歌入れでこだわったことはなんですか?
chay:滑舌よく歌うことを心がけました。今回も歌謡曲をイメージした曲作りだったこともあり色々な歌謡曲を聞きましたが、言葉がはっきり聞こえてくるので情景がすごく浮かびやすいなと思ったんです。これまで作ってきた曲は英語も多かったので、そこまで滑舌を意識したことがありませんでした。ただ、前作からは耳で聞いただけでなにを歌っているか分かる、伝えられなきゃダメだと、多保さんからは千本ノックかと思うくらいの勢いで何度も何度も歌い直しさせられましたね(苦笑)。大変でしたが、もともと滑舌の悪さは気になっていたので、それを正せるようになってよかったなと思っています。歌詞に合わせていろんな感情や風景を想像しながら、ニュアンスも気をつけながら歌いました。
――しごかれてるんですね……。
chay:はい。レコーディングは毎回へとへとになりますね(笑)。
――カップリング曲「笑顔のグラデーション」は前向きなサウンドと言葉が印象的ですね。
chay:競泳日本代表の応援(スポンサー企業の)CM曲として書き下ろした曲です。CMを見せていただくと、選手の皆さんの熱くて強い眼差しがとても印象的でした。その皆さんを応援できる楽曲をと思って作り始めましたが、ただ漠然とした応援ソングではなく、いつも身近で見守ってくれる本当の友達との友情を歌詞にしたいと思うようになって。これまでの自分の曲に真正面から友情を描いた歌詞も少なく、サウンド感にもぴったりだったので書いてみたいなと思いました。
――chayさんの友情観について書かれたのですか?
chay:そうですね。まず、真の友情ってなんだろうと考えました。女性はいつも一緒にいてなんでもシェアする、歳を取ってもずっと変わらずに一緒にいろんなことをしようと考える人が多いだろうし、それも理想だなと思います。でも、親友だからこそときには少し離れて見守ることもあるのかなと。見守ることって簡単そうで難しいですよね。相手の努力する姿や思いをきちんと理解できてないと、むやみに手を差し伸べちゃうかもしれない。その人を信じてないとただ見守ることができないんじゃないかなって思ったので、そういう観点から歌詞を書いていきました。
――固い友情で結ばれた友達がいるのですね?
chay:はい。歌詞で<平気なふりが上手すぎるから~>は、本当は弱いところもあるのに、強がったりする親友のことを書きました。実はその子から、夢が叶うとずっと前から信じていたと言われたことがあって、それを<不思議な力なんてないけど~>という歌詞にそのまま書きました。そんな風に思ってくれる友達が周りにいてくれて、本当に幸せなことだなと!

――自分の特別な想いを込めた歌詞だと、歌う時に感極まることもあるのでは?
chay:ありますね。さっきもお話ししたように、レコーディングは何度も何度も歌い返すのですが、結局OKになるテイクって素直に感情が入ったものだったりするんですよね。滑舌やピッチも大切ですし、そこはしごかれますが(笑)、最終的には私の感情を優先して選んでくれているのかなと感じます。
――「Celebrate you」では作詞だけでなく作曲も。曲作りはどうやって?
chay:普段はギターを弾いてコード進行からメロディを考えてと、スタンダードな作り方をしていますが、今回はいつものやり方から離れて違った作り方に挑戦してみることにして。今まではA~B~サビとJ-POPらしくきちんと展開していくように意識してコードも考えたり、メロディも作っていたのですが、今回は同じコード進行をループさせて、それでメロディを作ってみようと多保さんから提案されたんです。
――それは結構な難題だったのでは?
chay:そうなんです! 実際に作り始めたらすごく難しくて。コードが展開しないとメロディも展開させていくのが予想以上に難しかったですね。でもその壁を越えないとまた似通った曲作りになってしまうと思ったので頑張りました。サビは特にキャッチーで華やかにしたいと思ったので、特に悩みましたね。でも、曲作りの視野を広げるきっかけになりましたし、完成させたことで自信に繋がりました。
――話を伺う限りでは、多保さんはchayさんを“できる子”だと見越して難題を出しているように感じます(笑)。
chay:だったらいいのですが(笑)。それに応えられているかどうか……。
――曲を華やかに展開させるJ-POPの方法論を封印して作れなんて、ある意味で無茶ブリではないかと(笑)。
chay:そうかもしれませんね(笑)。洋楽ならベーシックがループする曲も珍しくはないのですが、J-POPとして成立させるのが難しかったです。
――インタビュー2へ
≪動画コメント≫
≪リリース情報≫
New Single
『好きで好きで好きすぎて』
2015.10.22リリース
【初回限定盤】CD+DVD
WPZL-31095~96 / ¥1,500(税抜)
[収録曲]
1. 好きで好きで好きすぎて
2. 笑顔のグラデーション
3. Celabrate You
<DVD> ※初回限定盤のみ収録
chayのON & OFF密着映像
extra~ハートクチュールツアー@AKASAKA BLITZ digest
【通常盤】CD
WPCL-12235 / ¥1,200(税抜)
[収録曲]
1. 好きで好きで好きすぎて
2. 笑顔のグラデーション
3. Celabrate You
4. AS TEARS GO BY(Acoustic Ver.)
≪ツアー情報≫
【chayメリクリツアー2015~みんなのことが好きで好きで好きすぎるから~】
2015年12月17日(木)大阪 なんばHatch
2015年12月19日(土)品川プリンス ステラボール
2015年12月25日(金)名古屋ダイアモンドホール
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