
■PUFFY/New Single『パフィピボ山』インタビュー(1/3)
「1人ではパワーも足りないし存在感も薄い(笑)。でも2人=PUFFYになると強くなる」(由美)
『アジアの純真』であまりにも鮮烈なデビューを飾った女性デュオ、PUFFY。愛すべき個性あふれるキャラクターと唯一無二の音楽性で、日本はもちろん世界のポップアイコンとして活躍を続ける奇跡のような存在であることは、誰もが認めるところだろう。そんな彼女たちが、20周年を迎えるにあたり、大胆な挑戦に打って出た。それが、2年半ぶりとなるシングル『パフィピボ山』だ。プロデューサーに絶好調のアイドルグループ・でんぱ組.incを世に送り出したもふくちゃんを迎え、作詞を当代きってのヒットメーカー・前山田健一、アップアップガールズ(仮)などの楽曲を手がけるBandaBoyが作曲という、トップアイドル顔負けの布陣で作り上げた異色&意欲作となっている。これまでの方程式を手放し、まったく新しい場所でPUFFYは何を築き、掴んだのか。PUFFYらしいゆったりモードのなか、時折見せる視点の鋭さや本音も織り交ぜつつ、笑いいっぱいのトークを繰り広げてくれた。
(取材・文/橘川有子)
「世の中の人が全部2人組だったら心強いかもしれない」(由美)
――2年半ぶりとなるシングル『パフィピポ山』は、でんぱ組.incを手がけるもふくちゃんを筆頭に、これまでと全く違った布陣で制作に取り組まれましたね?
大貫亜美(以下、亜美):はい。20周年を迎えることもありますし、新しいことをして、新しい風を吹かせたいなって。突き詰めると、まぁ、たいした理由はないんですけれど(笑)。
――そもそも、新しい風を入れたいと思ったきっかけはなんだったのですか?
吉村由美(以下、由美):そうですね、、やっぱりシングルとして久しぶりだし、今言ったように20周年もあるので、景気付けみたいなところもあったと思います。
――いろんな選択肢があった中で、一見するとアイドルに強い方々と組まれたのが非常に興味深いなと。
由美:たしかにそうですね(笑)。長い間活動してると当然たくさん曲があって、新しい曲を作ってもどこかあの曲に似てるといった気になるんですよ。私たち自身、「こんなのやったことない」ってドキドキしたりワクワクできるような楽曲がやりかった。今回は新しい引き出しを開けるというよりは、新しく引き出しを作るような感覚を求めていたんです。
――それで出てきた名前が今回の制作陣だと。
由美:これまでは、自分たちが好きで聞いてきた方達と一緒にやらせていただくことが多かったんですが、そことは違うチャレンジをしてみたくて。スタッフを交えて打ち合わせする中で、最初にもふくちゃんの名前が出てました。「これは面白いものができそうだな」と思ったので、もふくちゃんと打ち合わせすることになりました。
――そのミーティングではどんな話を?
由美:まず、今言ったように「新しい風を吹かせたい」と。あとは「PUFFYという素材を面白がって、楽しんでくれる作家陣がいい」という希望を出しました。
――PandaBoyさんが作られた曲を聴いた時の印象は?
由美:「あ、きた――!!」って。何と言っても(テンポが)速い! それに、誰が聴いても軽快な気持ちになる曲だなって思いました。打ち合わせで話していた通りのものが出てきたと思ったし、さすがだなと思いましたね。
――歌詞はヒャダインさんが手がけられていますが、リクエストは出しましたか?
由美:自分たちでは絶対に書けそうもない歌詞がいいですと言いました。あとは何か言ったっけ?
亜美:具体的にこうしてくださいとは言わなかったと思います。今回に限らず、こちらから要望はあまり出さないんです。その方の色が好きでお願いするのだから、その色を出してもらいたくて。
由美:そうだね。ああだこうだ言っちゃうと結局誰がやっても一緒になっちゃうし、新しい風が吹かないと思うので。
――なるほど。ただ、経験やキャリアを積むほど、重ねてきたものを失うリスクを恐れませんか?
由美:そっかぁ……もし一人だったら恐かったかもしれませんね。でも2人ならどんなこともまず2人で話し合えるんですよ。2人いるから飛び込める。……って、文字にするとすっごい寒いんだけど(笑)。
亜美:へたしたら見出しになってるかも(笑)。文字ってコワイね。
由美:「と言った後に、変顔してた」って書いといてください(笑)。
――お二人にはかないませんね(笑)。
由美:(笑)。つまりはビビる気持ちも分散されるってことなんでしょうね。今初めて思ったけど、世の中の人が全部2人組だったら心強いかもしれないね。
亜美:味方がいるっていいですよ。
――それだけ得難いパートナーなんでしょうね。歌詞の話に戻りますが、やはり端々にアニバーサリーを思わせるところがあると感じました。
亜美:それはもふくちゃんの中で思っていたことなんだろうなって。私たちもつい最近ヒャダインさんから聞いて知ったんですが、私たちのところに上がってくる前の段階で、もふくちゃんから5回くらい書き直すように戻されてたみたいです。
由美:忙しい方なので大変だったろうなって。
――高速チューンで、いかつい系のラップもあります。レコーディングも新鮮だったのでは?
由美:1番のラップのところは急遽ああなったんですよ。最初は2番で歌ってるみたいに普通に可愛く歌うはずだったよね?
亜美:うん(笑)。普通のバージョンも録ったし。
由美:だけど、周りの人たちが「それじゃ面白くない」みたいな空気を出して、首を縦に振らなかったんですよ。
亜美:窓の外の人たちが、無言で「こじんまりしてるんじゃねぇぞ!」と圧力をかけてきて(笑)。
由美:歌詞がすごく斬新にもかかわらず、何度も聞いていくとそれが普通に聞こえちゃうんですよ。だから、だんだんと爆笑したもん勝ち、みたいな空気になって。もちろん全力で真剣に取り組んではいるんですが。
亜美:それで、本線はキープしつつ別のバージョンをやってみることになったんです。それでいかつい男性ラップグループをイメージしてラップしてみたら、爆笑が起きちゃって(笑)。
由美:申し訳ないことに、私たちはラップとか詳しくないので、完全にイメージなんです。私たちとしては、制作スタッフが悪ノリしても、レーベルさん側でストップがかかると思ってたんです。
――今回はワーナーミュージックという新しい場所でもありますし。
由美:普通に考えれば、最初のまともなテイクだろうなって。ところが、そこでも止めが入らず(笑)。
亜美:ね。ワーナーの方はお菓子をちゃんと2人分買ってきてくれるんです。優しいんですよ。どこどこのサイトで人気1位とか、長蛇の列に並んでくださったりとか、自分たちでは買えないようなものを差し入れてくれて。デビューしたてでちやほやされてた頃を思い出しました(笑)。
由美:ねぇねぇ。多分、ワーナーの人がこれ読んだら「そこなの?」って絶対がっかりするよ。もっと色々あるでしょう。私たちも皆さんの熱意に応えるために、合言葉は「死ぬ気で頑張ります!」です。

「私たちはなにせ踊れなさすぎる。亜美さんに至っては覚える気がない(笑)」(由美)
――ミュージックビデオはでんぱ組.incの夢眠ねむさんが監督を務めましたが、コミュニケーションはうまく取れましたか?
亜美:ええ、もちろん。私はもともとねむちゃんと仲良しなので、「曲が速いし歌詞が大変なことになってるから、リップシンク(曲に合わせて口を動かすこと)はできないよ」って事前に伝えたんです。でも実際はリップシンクが結構あって(笑)、なおかつ歌いながら踊るシーンが多かったので緊張しましたね。
由美:ねむちゃんとは事前に打ち合わせもしたのでスムーズだったんですが、振りをつけて踊るのが久しぶりだったので、それは結構なプレッシャーでした。踊りも初めての先生だったので、「私たち本当に踊れません」と念を押して言ったんですが……。蓋を開けたら最初から最後まで振りが付いてました(笑)。空き時間とかも2人で「ここはどうだっけ?」って、先生が踊ってくれた動画を見ながら練習しましたよ。プロとしてやれて当然なんですけど(笑)、私たちはなにせ踊れなさすぎる。亜美さんに至っては覚える気がない(笑)。
亜美:気持ちはあるんだけどねぇ、すっぽり抜けちゃう。そうそう、ビデオの中で桃饅頭を作り続けてるんですが、由美ちゃんは桃まんを知らなかったんです。
由美:うん。かわいいし、ねむちゃんが想像したものかと思ったくらい。やっぱ、洋食で育ってきてるからかなぁ。
亜美:違う、違う。煮物でしょ。醤油、砂糖、みりんで味付けしてる茶色い食べ物。
由美:(笑)。あとは、白米ね。
――歌詞にいろんな料理名などが出てきますが、好きなものは?
亜美:私はヤムウンセン(タイ料理の辛いサラダ)。
由美:私は……シンハー!(タイのビール)
亜美:それ、料理名じゃないよね(笑)。
――12月にはでんぱ組.incさんと対バンも予定されてますね?
亜美:以前、石垣島ででんぱ組.incの皆さんとご一緒した時は、ファンの方々がみんなすごくノリノリで私たちのライブも見てくださったので、今回もそうなるといいですね。
由美:バリバリのアイドルだからダンスもキレッキレだし、いろいろと勉強させてもらおうよ。アイドルの方たちってイメージカラーがあったりしてわかりやすくしてますよね。そういうの見習わないと。
亜美:そうだね。未だに「由美ちゃんですか?」って言われるもん。
由美:自己紹介もわかりやすいよね。
亜美:あの自己紹介のフレーズって、誰が考えてるんだろう?
――基本的にはご自身じゃないかと。
亜美:それはすごいなぁ。ちょっとやってみたいけど、私たちがやったらその場が凍りつきそう(笑)。
――あはは。その後、振り付けは完璧にマスターしましたか?
由美:テレビの収録もあるので、覚えましたよ! この前、お客さんを入れた収録があって、お客さんの前で何度も撮り直しになったら申し訳ないので、ダンススタジオを取って踊りの練習をしましたよ。「真面目だな」って思いながら。
亜美:先生もいないのに2人で頑張った。今までやったことなかったよね。
由美:今さらだけどね(笑)。これからリリースイベントもあるから、振り付けもそうだけど歌詞も完璧に覚えなきゃ(笑)。
――PUFFYがリリースイベントをやるのも新鮮だなと。
由美:そうかもしれませんね。こうしてみると、20年経ってもまだまだやってないことってたくさんあるんだなって。こうなったら、スカイダイビングでもやっちゃう?
亜美:無理、絶対、無理!
――インタビュー2へ
≪動画コメント≫
≪リリース情報≫
New Single
『パフィピポ山』
2015.11.18リリース
【初回生産限定盤】CD+グッズ
WPCL-12247 / ¥4,167(税抜)
※スペシャルグッズ(Tシャツ)付完全限定生産・特別仕様
【通常盤】CD
WPCL-12248 / ¥1,204(税抜)
[収録曲]
1. パフィピポ山
2. COLORFUL WAVE SURFERS
3. COCO Hawaii
4. パフィピポ山 -instrumental-
5. COLORFUL WAVE SURFERS -instrumental-
6. COCO Hawaii -instrumental-
≪ライブ情報≫
【パフィーと対バン「愛の説教小屋」~萎えきゅんソングを台場にお届け~ でんぱ組.inc】
2015年12年2日(水)ZEPP TOKYO
w / でんぱ組.inc
【奥田民生 生誕50周年伝説 “となりのベートーベン”】
2015年12月22日(火)東京国際フォーラム ホールA
※ゲスト出演
【かつしかシンフォニーヒルズ開館24周年記念 パフィー新春歌謡ショー “女もつらいよ ~フーテンのパフィさん~”】
2016年1月15日(金)かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
【刈谷市総合文化センター 開館5周年記念 PUFFY SPECIAL LIVE 2016 in 刈谷】
2016年1月21日(木)愛知県 刈谷市総合文化センター
PUFFY オフィシャルサイト
PUFFY レーベルサイト
PUFFY 掲載記事一覧
エキサイトミュージック インタビュー掲載記事一覧
excite music official Twitter
excite music official Facebook
excite music official YouTube channel