今年も12月が近づいて人と集まることが多いシーズンがやってきたのですが、パーティの席に「何か一品持ってきてよ」なんて言われるのが本当に憂うつ。
そんな料理オンチの目に留まったのが、最近Instagramなどで話題になっている『スタッフドバゲット』のレシピ本(1000円税抜、日本文芸社)。
作り方がフランスパンの中身をくりぬいて具材を詰めるだけとお手軽で見栄えも華やか。水分が少なめなので持ち運びにも便利、というシンプルかつ画期的なメニュー。
本の著者のしらいしやすこ先生といえば、先にブームに火がついた、ご飯を握らずに具材をサンドする『おにぎらず』のレシピ本などでも知られるフードコーディネーター。他にもいわゆる“時短レシピ”や料理の基本を解説した本を数多く出していて、筆者のように料理があまり得意でなかったり、忙しくて手の込んだ料理を作る余裕がない人たちの強い味方でもあります。
そこでしらいし先生に、この『スタッフドバゲット』のお話を中心にパーティシーズン向け料理のコツをうかがってみることに。まず本の冒頭ではパンの真ん中を丸くくりぬくシンプルなスタッフドバゲットの作り方が解説されているのですが、詰める食材の選び方や詰め方のコツといえば……?
「バゲットの中に詰める食材の組み合わせは自由ですが、ジャガイモやカボチャ、クリームチーズなどは詰めやすい上に、パン生地とのなじみや相性もよいのでオススメです。詰めるコツは、切った時に中身にパンと具材の隙間が空かないようにしっかりと詰めることですね」
本には野菜やお肉といったメイン食材別に50種類ものレシピが紹介されているのですが、パーティのシチュエーション別におすすめのものを聞いてみました。
●お酒に合わせるなら・・・赤ワインと相性◎の「レバーパテ」や、見た目もおしゃれな「レバーの赤ワイン煮」、クルミ入りで食感もいい「生ハムチーズ」など。
●子供を含むファミリーには……コーンクリーム風味のマッシュポテトを詰めた「コーンクリームポテト」、見た目も鮮やかな「アスパラと卵のサラダ」など。
●女子会なら……食事系ならボリューム感のある「スパイシータコス」や「ラタトゥイユ」、スイーツ系ならヨーグルト風味でさっぱりした「サワーアイス」や、クリームチーズとドライフルーツを組み合わせた「チーズケーキ」、ケーキよりお手軽な「トライフル」など。
本の中ではさまざまなスタッフドバゲットのレシピはもちろん、盛り付けのバリエーションやくり抜いたパンの活用法、お手軽なラッピングの仕方なども紹介されています。これなら、筆者でも胸を張って作れそう……!
さらに図々しくも、筆者のように料理が得意でなかったり忙しい人向けに、手軽に挑戦できるパーティ向けレシピを提案してもらいました。
「野菜を小さく刻んでドレッシングで和えるだけの『チョップドサラダ』なら、普通に葉っぱとして食べるよりずっと食べやすいですし、余り野菜を何種類か組み合わせるだけで見た目にも豪華になります。あと個人的によく活用しているのは、蒸し野菜やグリル野菜。冷蔵庫にある野菜を大きなせいろに切って入れるだけで(せいろがない場合はレンジも可)、蒸している間に簡単にディップを作ればバーニャカウダ風にできます。グリルの場合も野菜をオーブンに並べて、オリーブオイルと塩で焼くだけ。アスパラなども長いまま焼いたりすれば、ちょっとかっこいい感じになりますし。他には、市販のお刺身をドレッシングや少しのお野菜でお化粧したカルパッチョなども、時間がかかりませんし見栄えがするのでよいと思います」
ちなみに初心者が失敗しがちなスイーツでおすすめなのはティラミスなのだそう。
「材料を混ぜていくだけなので比較的簡単ですよ。大きめに作ってシェアして食べるスタイルにすれば、まとめて作れますし。ティラミスに限らずですが、スポンジなどは忙しければ市販のものを活用するのもありだと思います」
“市販の材料も活用して数品作ってこれにパスタでも茹でれば、立派におもてなしメニューとしても通用するのでは?”とのことで、なるほど目からウロコでした……。
スタッフドバゲットをはじめ、料理ベタには大変ありがたいアイデアの数々。
「高い食材がおいしいのは当たり前で、そうではない普通の食材も素材を活かしたり、工夫しだいでぐっとおいしくなるのだと思います。この『おいしい』に限界はないので、お料理をもっと楽しいものとして考えていただけたら。時間がない方やお料理が苦手な方も、無理をしないでまずは簡単なものから、一つずつ作ってみて欲しいです」
(古知屋ジュン)