これは16世紀の占星術師ノストラダムスが刊行した『予言集』の中に登場する語だ。
第二次世界大戦以降、ノストラダムスの予言に関する本は世界中で出版され、皆が1999年になにが起きるのだろうかと震えあがっていた。
日本でも大ブームになったノストラダムス
日本も例外ではなくノストラダムスブームが起きている。そのきっかけとなったのが1973年に出版された『ノストラダムスの大予言』。当時は米ソ対立や公害問題といった不安な社会情勢もあり、超能力などの科学で解明できないオカルトが大ブームに。このようなタイミングで出版された『ノストラダムスの大予言』は、たちまち100万部以上のベストセラーとなり、日本でも1999年に滅びるのではという終末思想を植え付けさせたのだ。
ちなみに「恐怖の大王」という言葉もさまざまに捉えられ、環境問題・核兵器・隕石・大震災などさまざまな陰謀論的な解釈がされていた。
間違いだらけだった『ノストラダムスの大予言』
しかしこの日本でベストセラーとなった『ノストラダムスの大予言』には様々な問題点が指摘されている。
というのも、創作と思われる詩や史料が登場していたり、いたずらに詩が誇張されていたりと随所にフィクションが盛り込まれているのだ。にもかかわらず長い間、問題点が指摘されることはほとんどなく、テレビ番組などでも紹介されたために、誤ったノストラダムスの解釈が広まっていく。
ノストラダムスの専門家によると、「元々ノストラダムスが残した原書や文献をしっかりと読み込んで検討した予言は皆無だった」とのこと。さらには「予言の当たり外れを判断するためには明確な日時や内容がなければいけないが、欠けたものばかり。なんでもありのバラエティになってしまった」と後述している。
世間を騒がせたノストラダムス騒動。この思想がオウム真理教などの新興宗教に少なからぬ影響を与えたとの指摘もあり、日本にとっては大きな代償となってしまった。
ノストラダムス―予言の真実 (「知の再発見」双書)