
68話はこんな話
西南戦争が起った明治11年(1877年)、世の中は様変わりをしていた。
榮三郎(桐山照史)は、炭坑を手放そうと言うが、あさ(波瑠)は承知できない。その炭坑に爆薬を仕掛けた張本人サトシ(長塚圭史)は、新次郎(玉木宏)の幼なじみ・松造だった。
北九州でがんばる雁助
炭坑事故の後始末は難航していたが、あんなに炭坑事業をいやがっていた雁助(山内圭哉)が、きちっと仕事をし、案外、土地にも馴染んでいる。
髷の頃は、亀助(三宅弘城)と比べて、どこか近寄りがたいノーブルな雰囲気もあった雁助が(急に啖呵きる一面もあったとはいえ)、髷じゃなくなって、
北九州に行ったら、なんだか雰囲気が変わって見える。髪型の力は大きいのかもしれないが、責任ある仕事を任されて、張り切っているのだろうか。
サトシこと松造を追いつめたところも、説明台詞だけとはいえ、大活躍。
問題のサトシこと松造。
松造が、新次郎を家の仕事が嫌いにさせた張本人だったことが、ついに明かされた。
加野屋の大番頭だった松造のお父さんがのれん分けしてもらった後、事業がうまく行かず、不幸になってしまったという話が出て来る時に、のれん分けの話もちらっと出てきたことのある現・大番頭の雁助が松造のいた炭坑に派遣されてくるとは、なんとも皮肉めいている。
こんなに頑張っていい仕事している雁助だって、これからどうなるかわからない、なんてことを思わされる。
実際、加野屋の状況はよろしくない。正吉(近藤正臣)の体調も悪く、榮三郎(桐山照史)も跡継ぎとして悩ましいところであろう。
榮三郎、ぼんぼんっぽい喋り方だったのが、だんだんしっかりしてきている。余計なお世話だが、お父さんにも気に入られているあさみたいな存在は、プレッシャーだろう。あさは気にせず対等に張り合っているけど、それでいいのか。
そんな中、新次郎は、松造のことを思って、表情をずっと翳らせている。彼の顔だけでなく、67回は全体的に画面が暗く、朝の気配がしない。今週、また明るい朝は来るのだろうか。
(木俣冬)
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