「新・牡丹と薔薇」(東海テレビ、フジテレビ 毎週 月〜金 ひる1時25分〜)12月21日(月)放送。第16話「忘れられぬ事件の爪痕」より
脚本:中島丈博 演出:藤木靖之
第2のぼたんは、腰がフラフラしててバツイチ「新・牡丹と薔薇」16話
『牡丹と薔薇』中島丈博/徳間文庫

ルーツを知りたい富貴子


ぼたん(黛英里佳)が無惨な死を遂げてから2年、小日向家と吉田家がどうなっていたかが、まず描かれる16話。

両家ともかなりのダメージを受けております。
小日向家は徐々に回復しようとしていますが、吉田家のほうは復活の兆しどころか堕ちていく一方。
そんなところへ、富貴子(黛英里佳ふた役)がかなりひさしぶりにアメリカから帰国。
彼女は救世主なのか、それとも悪魔なのか。
富貴子はアメリカで結婚して離婚したわけを「わたしの腰がフラフラしてたのね」って、それは性的に? それとも精神的に? 
それよりも、誰もが思っていることでしょうけれど、富貴子がぼたんと同じ顔なのは、なぜ? 眞澄(伊藤かずえ)の血を受け継いでいるなら、美輪子(逢沢りな)と富貴子が同じ顔になるはずでしょう? 
富貴子がやたらとルーツ、ルーツと強調しているから、カヲルコ(鰐淵晴子)か世奈子(田中美奈子)と眞澄は何か関係があるのでしょうか。
自分のルーツに厳格なアメリカでの暮らしが長かった富貴子が、出生に興味をもって調べ、やがて真相に行き着いたとき、何が起るでしょうか。

美輪子がルー・サロメの勉強をしていると知った萌子(山口いづみ)は、
オスカー・ワイルド「サロメ」と勘違いして、演じてみたかったと言います。大正時代、松井須磨子が演じた、愛する男の首を欲する猛女の話は、60年代に三島由紀夫が岸田今日子主演で演出し、70年代にはつかこうへいによってロックオペラとして上演されました。2012年に平野啓一郎によって新たに翻訳もされて、それを多部未華子が演じています。
愛と狂気の女サロメと、ニーチェやリルケを大成させたいわゆるアゲマンのルー・サロメ(女性解放主義者)。中島先生は、ぼたん(富貴子)と薔薇(美輪子)をどちらの魔女のように描くのでしょうか。それともまた別の魔女でしょうか。

(木俣冬)
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