朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第20週「1993-1994」

第97回〈3月18日(金)放送 作:藤本有紀、演出:安達もじり〉

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第97回 るいと稔、ひなたと平川が時空を超えて語らう「岡山の奇跡」
写真提供/NHK

※本文にネタバレを含みます

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岡山の奇跡

8月15日、甲子園で黙祷のサイレンが厳かに鳴り響いた。

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桃太郎(青木柚)は雉真の居間で勇(目黒祐樹)雪衣(多岐川裕美)と立ち上がって黙祷、ひなた(川栄李奈)るい(深津絵里)の部屋で昔の英語講座のテキストを読んでいると、昔のラジオから玉音放送の英語版が聴こえてくる。それを読んでいたのは英語講座の初代担当の平川唯一(さだまさし)だった。ひなたは窓の外にひょっこり現れた平川と語り合う。

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第97回 るいと稔、ひなたと平川が時空を超えて語らう「岡山の奇跡」
写真提供/NHK

その頃、るいは錠一郎(オダギリジョー)と、安子(上白石萌音)がよく行っていた神社にお参りに行くと、そこに現れたのは――。

ヤフーニュース個人で筆者が演出の安達もじりさんに取材したところ、脚本の藤本有紀さんとともにこの回を「岡山の奇跡」と呼んでいたそうだ(https://news.yahoo.co.jp/byline/kimatafuyu/20220318-00287049)。

まさに「奇跡」。黙祷の間に起こった「奇跡」だった。これまでも『カムカム』には幻が何度か出てきたけれど、それは超常現象的なことではなく、この世に生きている者の想像力が生み出したものであった。会いたい人への強烈な思慕が亡くなった人たちを蘇らせた。

それが今回は理屈では説明できない不思議な出来事。ひなたは平川とはまったく接点がなく、平川のことを知らずに会話している。安子とるいが暮らした部屋がタイムマシーンになって、ひなたが過去にタイムスリップしたようだった。

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第97回 るいと稔、ひなたと平川が時空を超えて語らう「岡山の奇跡」
写真提供/NHK

るいの場合は、部屋の文机の中から取り出した辞書が魔法の力を発揮。彼女の傍らに現れた稔(松村北斗)は、るいが勝手に錠一郎を稔に見立てた想像とも解釈できるが、ここはお盆に稔が長い年月をかけてるいに直接言えなかったことを言いに現れて、錠一郎の体を借りて出てきたと解釈したい。

なぜ、いままで稔は現れなかったかといえば、るいが岡山のことを忘れようとしていたからで、長い長い時間をかけてついに岡山を振り返る気になったとき、ようやく現れることができたのだろう。死者はきっと生者がしっかり思い出すことで成仏できる。だからちゃんと思い出さないといけないなあと思った。

さて。平川は岡山出身で、NHKに入局し、終戦のとき、実際に玉音放送を英訳していた。この難しい内容を英訳するには翻訳によって伝わる意味合いが変わるもので、慎重を期したことであろう。その後はマッカーサーの日本に向けた第一声も放送するための放送要員第一号としてNHKから派遣されたと、『カムカムエヴリバディ 平川唯一と「ラジオ英語会話」の時代』(平川洌著 / NHK出版)にはある。


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