ゆず エンターテインメントすることや新しいサウンドをつくること自体が自分の原点/インタビュー3

■ゆず/New Album『TOWA』インタビュー(3/3)

――インタビュー2より

「自分が見えているものを多くの人とリンクできるようにつくったのが『TOWA』です」(北川)

――たしかに。「TOWA」からの流れで聴くとすごく安心するというか、素晴らしい流れだと思います。


北川:ずっと前から言っていることだけど、曲順はすごくこだわっていて、その流れによって曲の聴こえ方が全然変わってくるのがアルバムの面白いところだなと思う。例えば「夕焼け雲」が1曲目だったら、なにか違うなと。だけど「TOWA」の後に置くことですごくいいバランスになりました。

――そのバリエーションの中で、全体を統一させる大きな役割を担っているのが、アルバムタイトル曲「TOWA」です。今回、コンセプトを決めず楽曲制作を行ってきたなかで、“TOWA”というワードはいつでてきましたか?

北川:曲をいくつかつくっていくうちに、パーソナルな曲がある程度いっぱい出てきて。そういう曲だけをつくるのも、飽き性なので飽きてきて(笑)。なにかもうちょっと、表題曲であり柱になるものをつくりたいなと思ったときに、ふと出てきたのが“TOWA”でした。

――自身のどんな心境や想いから湧いてきたものなのでしょうか?

北川:自分はありがたいことに、昨年子どもを授かることができて。なにか……自分の中で、未来に対する想いが変わったんです。もちろん、いままでも未来への想いや願いは歌ってきたんですけど、これまでになかった違う未来を、子どもを通して感じることが増えました。

――具体的にはどのようなことですか?

北川:日常にある何気ない話題やものごとにしても、肯定的に思うときもあれば、以前よりシビアに思ったり、怖かったり不安になったり。いままで聞き流していたニュースがずっと気になってしまったりとか。
モノの見方が変わったんだと思います。その自分が見えているものを多くの人とリンクできるようにつくったのが「TOWA」です。自分だけの未来じゃない。この身がなくなっても、次の世代に手渡して、続いていく未来なんだと。そんな未来に対して、自分にはなにができるんだろうと。震災のときにも感じたんですが、自分にできることってそんなにたくさんはなくて。僕は、未来に対して残していきたい想いを楽曲に込め、音楽で表現したいと思いました。

岩沢:出てくるべくして出てきたタイトルという印象ですね。「二人三脚」を一緒につくった時も「OLA!!」や「終わらない歌」も、テーマはブレてないんですよ。普遍的で変わらないもの。そういうメッセージは一貫していたので、「『TOWA』ね、なるほど」という感じで。すべてがつながった感じでしたね。


――岩沢さんは“TOWA”という言葉にどんな想いを込めますか?

岩沢:アルバムって、成長過程というか、写真のアルバムと一緒で、その年になにがあったとか、小さい頃はこんな格好してたなぁとか、写真めくりながら思い返すような、まさに“アルバム”なんですよ。そういう意味では、また新しいアルバムをつくれたことは素直に嬉しいし、またさらに嬉しいのが、この先、何年後かに「『TOWA』のときってこうだったよね」みたいな、それぞれの人にとってそういうメモリアルな存在になるんですよ。「『TOWA』のとき、中学生でした!」みたいな出会いが単純に嬉しいし、それをずっと続けてきている喜びが大きいですね。

――「TOWA」と「終わらない歌」の2曲が、楽曲群をひとつに結びつけ、この作品の大きなテーマとして存在している気がします。

北川:そうですね。つくっているときからこの2曲はアルバムの柱になるなと思っていて。「終わらない歌」は、例えばラブソングであったり応援歌だったり、キャッチーなテーマではなく、すごく大きなものだし、最初は届きにくい部分もあるんじゃないかと思っていたんです。でも『めざましテレビ』(フジテレビ系 情報番組)テーマソングからはじまり、音楽番組での歌唱や二人参客ライブ、そして今回のTOWA-episode zero-ツアーを通して、スルメのようにじわじわと皆さんのもとに届いていって。この曲は僕らにとってもファンのみんなにとっても、ともに歩んでいけるような、大切な曲になったんじゃないかな。

ゆず エンターテインメントすることや新しいサウンドをつくること自体が自分の原点/インタビュー3
TOWA【通常盤】

――そういった“歩み”というテーマでは、今回弾き語り曲「二人三脚」がバンドアレンジで収録されています。

北川:今回のツアーでは音楽監修という立場でご一緒しているキーボーディストの斎藤有太さんと話していて。前回の「友~旅立ちの時~」じゃないですけど、一緒に旅に出るバンドメンバーとレコーディングすると絆が深まるよねという話題から、今回もそういうものをつくりたいなと思いまして。
そのための新曲というよりかは、「二人三脚」って、自分たちのなかで思い入れのある曲だし、こういうテーマの曲こそ、ツアーでまわるみんなとレコーディングするのがいいんじゃないかなと思って提案しました。結果、有太さんが弾き語りバージョンと全然違うアプローチのデモをつくってきてくれて。それがすごく素晴らしくて、みんなでほぼ一発録りでレコーディングしました。

岩沢:実力はもちろん、ゆずをよく知ってくれているメンバーなので、みなさんゆず仕様にいいように工夫してくれるというか。レコーディングというよりは、タイトル通り、まさにセッションという感じです。

北川:この曲をただアレンジするだけならアルバムに入れる必要ないし、弾き語りだけでいいかなと思ってたんです。だけど「二人三脚」をつくったときに、これは僕と岩沢の二人三脚でもあるし、いろんな人とたすきを結んでいく、ゆずと誰かの二人三脚でもある。だから、この曲で仲間たちと“二人三脚”できたのは、すごくよかったですね。

――そしてアルバムを締めくくるのは「終わりの歌」です。「終わらない歌」で始まり「終わりの歌」で終わるという、物語の完結曲としてふさわしい楽曲だと思います。

北川:洒落ですよね(笑)。終わらないものもあれば、終わるものもあるっていう。
最初は「終わらない歌」のカップリングにしようかなと思ってたんですよ。「終わらない歌」なのに、カップリング「終わりの歌」かい!みたいな(笑)。だけど「二人三脚」ができて、時間が経つうちに、この曲はアルバムの終わりだったらおもしろいなと思って。当時、伊勢佐木町で弾き語りしていた頃の勢いや若さは取り戻せないかもしれないけど、そのガキにはわからない痛みや喜びや情けないものがあって。アラフォーの弾き語りじゃないですけど、そういう“今の”ゆずの弾き語りみたいなものを入れたいなと思いました。

――この作品を“原点”と位置づけるのは簡単ですが、弾き語り曲でも新たな挑戦曲でも“深化”という言葉が相応しいなと思います。

岩沢:そうですね。最近、自分たちができることの少なさに喜びを感じているというか。結局、ギターを持って歌うことをやっているだけなので。それがより研ぎ澄まされていく感じで、原点に戻るというより、進んでいくイメージですね。

北川:弾き語り曲ひとつとっても過去の焼き直しみたいな感じは全然しなくて、すごくフレッシュな気持ちでこのアルバムをつくれましたね。まわりまわって新しいモノって巡っているから、いまの自分にはこれが新鮮というか。
そもそも、エンターテインメントすることや新しいサウンドをつくること自体が、自分の原点ですよね。新しいものを生み出していきたいという気持ちはずっと変わってないし、挑戦していく気持ちも変わらないです。

――インタビュー1へ

≪リリース情報≫
New Album
『TOWA』
2016.01.13リリース

【初回限定盤 COMPLETE BOX】(CD+LIVE CD+DVD+フォトブック)
SNCC-86929 / ¥4,500(税抜)
【通常盤】(CD)
SNCC-86930 / ¥2,870(税抜)

[収録曲]
1. OPENING CEREMONY
2. 終わらない歌[Album Version]
3. かける
4. みそら
5. ポケット
6. た Ri ナ ぃ
7. いっぱい
8. いつもの病気
9. OLA!!
10. Interlude~Borderless Ticket~
11. TOWA
12. 夕焼け雲
13. 二人三脚[Album Session]
14. 終わりの歌

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