2010年代を代表した『砂の栄冠』と『球場ラヴァーズ』の終焉
野球太郎 連載中の作品の話をする前に、2015年の野球マンガ事情を振り返りたいと思います。
オグマ 『砂の栄冠』が遂に最終回を迎えました。間違いなく、2010年代の野球マンガを代表する作品だったかと思います。

ツクイ “七嶋無双”なんて言われた時期もありましたけども、いい終わり方だったんじゃないですかね。
オグマ 出発点は「1000万円で甲子園出場を買う」という変化球がテーマでしたが、結局、王道野球マンガに着地したというか。最後は甲子園準決勝で、大谷翔平をモデルにした投手がいる岩手県代表と対戦。三田先生は岩手出身ですし、『クロカン!』の最後の相手も岩手県代表。描きたいことを描ききった感はあります。
ツクイ 甲子園のヒーローとはなんぞや、というところまで一応、行き着きましたからね。それ以外の「眉毛戦争」とか、ブラスバンドどこいった問題などはありますけど(笑)、この作品でしか投げられなかったテーマがたくさんあったと思うんです。そこにどんどん球を投げ込んでいったのはさすが三田先生だと思います。あとは、「ガーソ地蔵問題」。これから先、実際の高校野球において「なぜここで動かないの!?」という場面が訪れたら、絶対にその監督は「ガーソ」ってディスられるでしょう? それぐらい、高校野球マンガ史上に残るインパクトのあるキャラクターでした。