KANA-BOON “起源”という意味を持つ新作『Origin』への想いを語る/インタビュー1

■KANA-BOON/New Album『Origin』インタビュー全文(1/3)

取り戻したあの頃、3年目のスタート地点

鳴り渡るタフな音像、彼らの手のうちにはまだこんなにも切り札が隠されていたのかと驚いてしまうほどバラエティに富んだ音楽性。粒ぞろいの12曲、個性も表情も実に豊かで伸びやかな楽曲群に舌を巻かずにいられない。既存のイメージに媚びることなく、バンドの新たなスタンダードを堂々と打ち立てたKANA-BOON会心の3rdアルバム『Origin』。これほどの傑作だ、さぞかし意気揚々として制作されのだろうと思いきや、彼らから返ってきた言葉はなんとも意外なもので……? “起源”という意味を持つこのアルバムタイトルに4人が託した想いとは果たして。目を、耳を、あなたの全身全霊をしかと凝らして聴いて欲しい。
(取材・文/本間夕子)

これはいいアルバムなんやなってなんとなく感じられるようになってきてる

――発売まであと数日となりましが、どうでしょう? 日に日にリリースが迫る心境というのは。

谷口鮪(以下、谷口):でも、まだ……前日ぐらいになったらようやく実感あるのかなっていう。

飯田祐馬(以下、飯田):そんな感じやな。

小泉貴裕(以下、小泉):うん。

古賀隼斗(以下、古賀):えぇっ!? 「あと10日切ったんか~!」って思えへん?

谷口:あんまり俺、カウントダウンせぇへんから。

古賀:俺もせぇへんけど、もう数日やん。「マジか~!」とか思うやろ。

3人:全然思えへん。

――あははは(笑)。とはいえ、こうやってたくさんインタビューを受けたりされてる中、いろんな方の感想を耳にされるでしょう? それによってアルバムに対する想いなども完成当時とはまた変わってきたりしませんか。

谷口:僕は「思ってたよりいいアルバムなのかな、これは」って思い始めてきたくらいですかね。できた当初は、どういう評価を得るのか、どういうふうに感じてもらえるのか、全然わからない状態だったんですよ。それは発売してみないとわからないところなので、今もわからないっちゃわからないんですけど、インタビューとかで「カッコいいね」って言ってもらったり、曲の真相について触れてもらえたりすることで、KANA-BOONの歴史にとっても、今のシーンに対しても、これはいいアルバムなんやなってなんとなく感じられるようになってきてるところです。

――レコーディング中は評価や受け止められ方などは考えず、とにかく作ることに集中していたわけですよね。

谷口:そうですね。考えなかったというよりは見えなかったっていうほうがデカいかな。だからアルバム制作の折り返し地点くらいまでは結構しんどかったというか、不安がすごく大きくて。前作の『TIME』のときはある程度、予想できてたんですよ。どういう位置づけのアルバムになるのか、どういう評価を得るのか、作ってたときからわりと見えてたから、ずっと自信満々でやってたし、世に出てからも「めちゃくちゃいいでしょ、これ」って自分たち自身も思えてたんですけど。でも今回は自分たちのやりたいことを詰め込んだというか、『TIME』のときにはどこかで行なっていた“ニーズに応える”っていうことを気にせずにやっている分、ちょっと不安で。たぶん一般的に求められているKANA-BOONとは違う切り口が今回は多いから、未知という意味で今こういう心境なのかなって。

――でも、もちろん自ら求めてのことですよね、世間のニーズとは違う切り口を見せようというのは。

谷口:最初からスパッとそう思ってたわけではないんですけどね。でも、じわじわとは感じてたと思うし、やっぱり今までのKANA-BOONから脱したいっていう想いから来てるんやとは思います。

古賀:僕が今回の『Origin』を作る中で意識してたのが、まさに“ニーズに応えない”ってことで。だから自分の好きなように弾こうっていうのを個人的なテーマに持ったんですよ。自分の好きなフレーズを好きな音色でとりあえず弾き倒そうと思って(笑)。ニーズに応えた音楽って世の中にたくさん溢れてるけど、ニーズに応えない曲ってあんまりないじゃないですか。

――確かに。

古賀:それがやりたいからバンドをやってたんじゃないかって思ったんですよね。それが個性になるじゃないですか。

――ニーズに応えない部分が。

古賀:そうです。それを100%出してみようって作ったのが今回のアルバムなので、僕的には100点をつけてもいいぐらい。自己満足点ですけど(笑)。ただ、お客さんが聴いてどんなふうに感じてもらえるかが不安っていうだけ。僕個人としてはすごくいいものが録れたっていう圧倒的な自信があるんですよね。絶対的にカッコいいって。

――飯田さんは?

飯田:録ってるときの不安はやっぱりありました。『TIME』のときはライブとか夏フェスの勢いそのままで行けたんですけど、今回は「もっとこうしなきゃいけないんじゃないか」とか「こんなこともできるんじゃないか」とか考えたり悩んだりすることも多くなってきていて。でも、悩むってことは変化してるってことでもあるんですよね。なので、これまで通りのKANA-BOONではないっていうところでの不安はありますけど、今はワクワクしてますね。きっと一回だけじゃ理解できない部分もいっぱいあると思うので、何回も聴いて欲しいです。

KANA-BOON “起源”という意味を持つ新作『Origin』への想いを語る/インタビュー1
Origin【通常盤】

デビュー3年目にしていよいよ強がってるのも限界かなって

――毎回、「こういうアルバムにしよう」みたいなテーマやコンセプトを特に設けずにレコーディングに突入されていましたけど、それは今回も?

谷口:一切なかったです。ないまま、流動的にレコーディングシーズンに入った感じで。飯田が言った通り、『TIME』のときは夏フェスのモードをうまく活かしつつレコーディングに入れたんですよ。でも今回は活かすことも切り替えることもちゃんとできてないまま、する~っと入ってしまったというか。でも音に関してはパワーのあるものを録りたいっていうのと、パワーのあるバンドになりたいっていうのはその時点で思ってました。

――つまり、まだパワーが足りないと?

谷口:もう全然。自分たちに一番足りないのはそこやと思ってるので。音的にもそうやし、バンドとしてもそうやし、人間としても力強さやエネルギーがまだまだ足りない。そういうことは最初からメンバーに伝えながら作っていったんですけど。ただ、制作が進んでいく中で『TIME』を作っていたときのあの感覚がないなって、ちょっと不安を感じだしたというか。

――あ、そうなんですか? むしろ今作こそ自信満々で作っていたのかと。

谷口:全然(笑)。自分たちの弱い部分とか、そういうのを見て見ぬ振りしてきたけど、デビュー3年目にしていよいよ強がってるのも限界かなっていうタイミングでもあって。今回は別の意味で夏の経験が大きかったんですよ。フェスとかでも一番デカいステージに立つことが多くて、でもそこで最高のライブができたかっていうと自分たちとしては頷けないことばっかりで。そんな状態なのにある意味、頂点みたいな場所に来てしまったっていう感覚とか……。

――そのギャップはキツいかも。

谷口:今までだったら、さらにデカいステージへ!ってガムシャラにやってこれたけど、ここからはちょっと違う闘い方になっていくなって思い始めた時期というか。そういう意味でもちょっと不安定だったかなって。

――いや、でも意外だな。一聴してまず、腹が据わったなって思いましたからね。もはや浮き足立ってないというか、これでいくんだって覚悟を決めたバンドとしての強さを感じて。

古賀:でも、それは合ってるんちゃうかな。

谷口:うん、結果としてはそうなりましたからね。実は今回、制作の途中で話し合いをしたんですよ。

――話し合い?

小泉:鮪から「本当に音楽を楽しめてる?」って切り出されて。

谷口:そこで本音を話せたというか。デビューしてここまでくる中で、4人の関係性であったりとか、メンバーそれぞれどういう変化を感じているのか……それはネガティブな意味での変化ですけど、そういうことを話す機会がなかったし、作ってこなかったんですけど。

――特に必要もなかったでしょうしね。

谷口:そうですね。ずっと一緒におるから、そんな真面目な話を改まってするのも気持ち悪いし(笑)。それに弱音を吐いてしまうといろいろストップするんじゃないかって不安があったんですよ。でも今回、話し合いができて良かったです。ここからまた楽しんで音楽をやろうとか、バンドを始めた頃のあの感覚を取り戻そうっていう気持ちに行き着くことができて、今はそのスタート地点やなって思うんですよ。この『Origin』がその第一歩というか。だからバンドとしては今、すごくすっきりしてますね。

――インタビュー2へ



≪リリース情報≫
New Album
『Origin』
2016.02.17リリース

【初回生産限定盤A】(2CD)
KSCL-2686~7 / ¥4,200(税抜)
KANA-BOON “起源”という意味を持つ新作『Origin』への想いを語る/インタビュー1
Origin【初回生産限定盤A】

【初回生産限定盤B】(CD+DVD)
KSCL-2688~9 / ¥3,500(税抜)
KANA-BOON “起源”という意味を持つ新作『Origin』への想いを語る/インタビュー1
Origin【初回生産限定盤B】

【通常盤】(CD)
KSCL-2690 / ¥2,800(税抜)

[収録曲]
●DISC 1
1. オープンワールド
2. 机上、綴る、思想
3. なんでもねだり
4. ランアンドラン
5. anger in the mind
6. インディファレンス
7. talking
8. グッドバイ
9. 革命
10. ダイバー
11. スタンドバイミー
12. Origin
●DISC 2 ※初回生産限定盤Aのみ収録
1. 見たくないもの
2. 目と目と目と目(2016 mix)
3. MUSiC(2016 mix)
4. ピアスを開けた
5. talking
6. うそばっかり
7. クローン
8. かけぬけて(2016 mix)
9. 僕らはいつまで経ってもさ
10. Construct Connect
<DVD> ※初回生産限定盤Bのみ収録
KANA-BOONの企画会議その1
盛者必衰の理、お断り THE PARODY Music Video
KANA-BOONの企画会議その2
結晶星 THE PARODY Music Video
こいずみのたたかい
盛者必衰の理、お断り THE PARODY オフショット
結晶星 THE PARODY オフショット

≪ライブ情報≫
【KANA-BOONの格付けされるバンドマンツアー 2016】
4月16日(土)千葉 幕張メッセ国際展示場9~11
4月26日(火)愛知 日本ガイシホール
5月3日(火・祝)大阪 インテックス大阪 5号館
5月4日(水・祝)大阪 インテックス大阪 5号館
5月11日(水)広島 BLUE LIVE HIROSHIMA
5月12日(木)広島 BLUE LIVE HIROSHIMA
5月14日(土)福岡 福岡国際センター
5月31日(火)新潟 新潟LOTS
6月1日(水)新潟 新潟LOTS
6月3日(金)宮城 仙台PIT
6月4日(土)宮城 仙台PIT
6月10日(金)札幌 Zepp Sapporo
6月11日(土)札幌 Zepp Sapporo
6月16日(木)石川 金沢EIGHT HALL
6月17日(金)富山 MAIRO
6月22日(水)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
6月24日(金)高知 CARAVAN SARY
6月25日(土)香川 高松 festhalle
7月3日(日)沖縄 ナムラホール
7月9日(土)香港 Music Zone@E-MAX
7月10日(日)台湾 THE WALL

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