
129話はこんな話
和歌山で菊(萬田久子)が息を引き取る。
夢破れて・・・
母と子シリーズで、129回では、宜ちゃん(吉岡里帆)のお母さん田村フナ(高橋由美子)まで登場。
娘を心配するフナと語り合いながら、15歳で嫁いだあさ(波瑠)は、今や、時代が変わり、子供がさなぎでいる時間が作れるようになったと、しみじみする。
子供の進路をあらかじめ決めてしまうことなく、考える猶予ができたという素敵な日本の進化が讃えられた場面であった。
それも、あさをはじめとした勇ましいファースト・ペンギンがいたからなんだろうなあ。
あさと千代の母娘喧嘩もなんとなく解決。だが、京都の寄宿舎に千代が飾ってあった家族写真。あさの頭に角の落書きがしているのが、まだまだ母娘の戦いは続くに違いないと思わせる。もっとやれ〜。
さて、いろいろ不自由の多かった旧時代の娘である菊は、大阪に戻る夢破れて山あり。128話で、はつに白いタオルを投げられて(喩えです)、すっかりおとなしくなると、みかんの花の香りに幸福を感じ、家から見える山を、「ここがあたしらの山王寺屋なんや」と達観しながら、この世を去るのだった。
臨終に間に合わなかったうえに、祖母の期待に応えられなかったと落ち込む藍之助(森下大地)に、次男・養之助(西畑大吾)は「(菊の人生は)決して惨めなものじゃなかったで」と慰める。
そこで思い浮かんだのは、2011年に発行されて、200万部を超えた大ベストセラー「置かれた場所で咲きなさい」(渡辺和子/幻冬舎)だった。
(木俣冬)
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