朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)3月5日(土)放送。第22週「自慢の娘」第132話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:鈴木航
千代と宜の恋バナを新次郎が立ち聞き「あさが来た」132話
イラスト/小西りえこ

132話はこんな話


1896年(明治29年)、千代(小芝風花)は女学校を卒業し、花嫁修業をはじめた。
新次郎(玉木宏)は、千代の初恋話を立ち聞きし、ショックを受ける。

友達の話は自分の話


22週の最後は、成澤泉(瀬戸康史)がついに自著を出版、伊藤博文に女子大学設立の賛同を得て、意気揚々というところに注目したいが、やっぱり、様々なおんなごころのほうに興味がいく。

まずは、少女たち。
宜ちゃん(吉岡里帆)は、あさ(波瑠)の秘書になって、嫁に行かずに済んで大喜び。
千代の部屋に居候しているようで、千代のベッドの下に本がぎっしり入っている。一年前の千代の部屋には本の気配はまったくなかったから、宜ちゃんの本であることは明白だ。
千代と宜が、ベッドの上で、きゃっきゃきゃっきゃと恋バナしているところを、新次郎が久々の立ち聞き。
宜ちゃんは、ごうにいっては郷に従えとばかりに、加野屋の風通しの良さをさっそく受け継いだらしく、うめ(友近)と亀助(三宅弘城)に千代の話をリーク。それをまた立ち聞きしていた新次郎は、くらくらとよろめいてしまう。

「わての経験上、おなごが自分の友達の話でーとかいうて、話す話いうのは、十中八九が自分の話なんでっせ」と得意満面の亀助は、4月23日干放送「あさが来た」のスピンオフの主役の座を射止めたらしい。http://www.nhk.or.jp/osaka-blog/asagakita/239025.html

次に、はつ(宮崎あおい/大は立)。
養之助(西畑大吾)の祝言が近づいた時、惣兵衛(柄本佑)から露芝の着物をもらうはつ。
露芝といえば、はつと惣兵衛が最初に、心を通わせたきっかけになったもの(14話)。あの時、あんなに喜んでいたはつだったが、仕立てた着物を着ていたことがなかった。そのままお家は没落して、反物も失ってしまったであろう。何十年の時を経て、妻が好んだ露芝を贈る惣兵衛。
「派手さはあらへんけどうつくしい柄や。はんなりとしているようで鋭さもある。」14話で露芝をそう表していた惣兵衛。あれからはつは、露芝のような人間性を育てていったのだ。
はつの幸せを真実に関する瞬間は、柄本佑との芝居のシーンだ。不器用ながら、心からはつを思っている柄本佑の視線に、はにかむように微笑む宮崎あおい。ふたりがそっと寄り添っている時、発する空気に幸福が宿る。ほんとうにふたりはいい芝居をしている。

それから、うめ。

雁助(山内圭哉)が工場で頭を打ったという知らせが入り、心中穏やかでないうめ。焼け木杭に火がつくのか?

それにしても、最近、病気やけがのエピソードが多くないですか?
(木俣冬)
木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから
編集部おすすめ