
春を迎え、進学や就職で初めて東京へ来る人も多いだろう。そんな新参者を困らせるのが東京の鉄道事情だ。
・電車の本数の多さにビビる
・ホーム数の多さにビビる
・行き先の多さにビビる
・通勤ラッシュの人の多さにビビる
・新宿渋谷などターミナル駅のダンジョンぶりにビビる
・車両にトイレがついておらずビビる
といった"鉄道あるある"は誰しも体験することだろう。もっともわかりにくいのが私鉄の列車の速さではないだろうか。特急や急行ならまだしも、準急や特快や通勤快速など無数の種類があり、どれが一番速いのかわからない。さらに、JRしか乗り慣れておらず「特急は追加料金を取られると思い乗らなかった」という笑い話もあるほどだ。
そこで、首都圏を走る主要な大手私鉄各線の列車の種類を速い順に並べてみた。条件は以下の通り。
1.各私鉄の主要路線を選び、追加料金を必要としない列車を、速い順に不等号で並べる。
2.鈍行に関しては各社で、各駅停車、普通など複数の呼び名があるため、便宜上「普通」で統一する。
3.一部の私鉄線は全線ではなく、一定の通勤圏に限って比較した。
では各私鉄ごとに見てゆこう。
東武鉄道
伊勢崎線(浅草~東武動物公園)
快速>区間快速>区間急行>区間準急>普通
東武伊勢崎線は、地下鉄日比谷線と半蔵門線が南栗橋駅まで、相互直通運転を行っている。急行と準急は地下鉄直通の路線に割り当てられておりややこしい。
東上線(池袋~小川町)
快速急行>快速>急行>通勤急行>準急>普通
東武東上線には、夜に整理券を買えば埼玉県のふじみ野までノンストップの「TJライナー」が運行されている。
JR線利用の感覚だと、快速より急行の方が早いイメージもあるのだが、東武鉄道は異なる。
西武鉄道
池袋線(池袋~飯能)
快速急行>急行>通勤急行>快速>準急>普通
西武鉄道は快速より急行の方が早い。さらに、西武池袋線は有料特急の「ちちぶ」「むさし」が運行されている。小手指までは、快速と通勤準急の間に通勤準急が運行されている。
新宿線(西武新宿~本川越)
急行>通勤急行>準急>普通
有料特急で「小江戸」が運行されているものの、池袋線よりはシンプルだ。西武新宿駅はJR新宿駅から少し離れた場所にあり、一つ手前の高田馬場駅が、JR線との乗換駅として利用されている。
京王電鉄
京王線(新宿〜京王八王子)
特急>準特急>急行>区間急行>快速>普通
特急がもっとも早く、急速、快速が続く。JR感覚でもわかりやすい。京王線は沿線に大学が多く、学生の利用も多い。料金の安さも魅力的である。下北沢で井の頭線に乗り換えれば、渋谷、吉祥寺へのアクセスも便利だ。
京成電鉄
京成本線(京成上野~成田空港)
快速特急>特急>快速>普通
京成線は成田空港へのアクセス路線として知られる。有料特急であるスカイライナーも走っているため、時刻表の特急の表示には「料金不要」とていねいなただし書きがついている。
東京急行電鉄
東京東横線(渋谷~横浜)
特急>通勤特急>急行>普通
東急は料金の安さで知られる。渋谷から横浜方面向かう場合は、JR線より安い。ほとんどの列車が、みなとみらい線と直通しているため、観光地へのアクセスも便利だ。
京浜急行電鉄
本線(泉岳寺~浦賀)
快特>特急>普通
京浜急行は神奈川方面とともに、羽田空港へのアクセス路線として知られる。泉岳寺から先は、都営浅草線、京成電鉄、成田スカイアクセス線を経由して成田空港まで直通運転を行っている。京急本線内では快特がもっとも早い。羽田空港へ向かうエアポート急行も運行されている。
小田急電鉄
小田原線(新宿~相模大野)
快速急行>急行>準急>区間準急>普通
小田急には箱根、江ノ島方面へ向かう有料特急、ロマンスカーが運行されている。小田急線でもっとも早いものは快速急行である。新宿を出たあと代々木上原、下北沢に停車したあとは、新百合ヶ丘までノンストップだ。
私鉄は、路線によっては通過や乗り換え待ちの時間ロスが多くある。さらに、時間帯によって最速の列車が異なってくる。最初は慣れないだろうが、うまく乗りこなして欲しい。
(下地直輝)
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